財産分与とは?対象となる財産、分与の手順・方法まで詳しく解説

離婚とお金

■ 財産分与って何?
■ 財産分与の対象となる財産は?
■ 財産分与の手順・方法を知りたい

この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容になっています。

離婚する際に検討しなければいけないお金の問題の一つに「財産分与」があります(その他、養育費、慰謝料、婚姻費用(の清算)、年金分割)があります。

ただ、そもそも財産分与とは何なのか、財産分与の対象となる財産は何なのか、どういう手順・方法で財産分与すればいいのか、はじめてでわからない方も多いと思います。

そこで、この記事の前半では財産分与の意味や対象となる財産について、後半では実際の手順・方法について解説したいと思います。

財産分与とは

財産分与とは、夫婦の共有財産のうち、プラスの財産の総額からマイナスの財産の総額を差し引いて出た差額を、原則として2分の1ずつ夫婦で分け合うことをいいます。一方、マイナスの財産の総額がプラスの財産の総額を上回った場合には財産分与は行いません。

そのため、財産分与を行うにあたっては、共有財産とはどんな財産か?今現在、どんな共有財産、いくらもっているのかをチェックすることからはじめなければいけません。

財産分与の対象となる共有財産

前述のとおり、財産分与の対象となるのは夫婦の共有財産です。共有財産とは夫婦共有名義の財産、あるいは婚姻後に夫婦で協力して築き上げたと認められる財産です。プラスのみならず、マイナスの財産(借金、住宅ローンなど)も含まれます。

一方、財産分与の対象とならないのが特有財産です。特有財産とは、婚姻前から有していた財産、あるいは婚姻後に自己の名で得た財産のことです。共有財産、特有財産の詳細は以下の記事で詳しく解説しています。

 

財産分与を行う手順

財産分与を行う手順は以下のとおりです。

① プラス、マイナスの共有財産をリストアップ

② ①の証拠を集める

③ 評価が必要な財産(不動産、車など)を査定に出す

④ 「財産分与対象額」を算出する

⑤ 分与割合について話し合う

⑥ 基本の取得分額を計算する

⑦ 未払婚姻費用があれば⑥に加算

⑧ 実際の分け方(金銭給付、現物給付、利用権の設定)を決める

話がまとまる→YES→⑨強制執行認諾付き公正証書(離婚協議書)を作成する 
↓         ※離婚に合意していることが前提
NO

⑩ 調停を申し立てる

①プラス、マイナスの共有財産をリストアップ

まずは、財産分与の対象となるプラス、マイナスの共有財産をリストアップしましょう。同時に特有財産がないかを確認し、あれば特有財産を除きます。「共有財産チェックリスト(←クリックしてダウンロード)」を作りましたので、よろしければご活用ください。

※隠し財産があると疑われる場合は?
相手が共有財産となりうる隠し財産をもっていると疑われる場合は、給与額は口座残高については弁護士照会制度で判明することがあります(ただし、照会だけを弁護士に依頼することはできません)。また、調停を申し立てれば、裁判所を通じて相手に情報開示を促してもらうことができ、それにも相手が応じない場合は、調査嘱託を利用することもできます。

②①の証拠を集める

リストアップと同時に、共有財産の裏付けとする証拠を集めましょう。

【共有財産と主な証拠】※原本はすべてコピーを取る
●収 入・・・・給与明細、源泉徴収票(サラリーマン)、確定申告書(自営業)
●預貯金・・・・預金通帳(子供名義の通帳も含む)、残高証明
※難しい場合は、金融機関名・支店名、(口座番号)だけでも把握しておきます。その後、調停を立てた後、裁判所に調査を求めることもできます(必ず支店名まで把握しておく!)。
●退職金・・・・退職金見込計算書(勤務先で発行してもらう)
●不動産・・・・売買契約書、登記事項証明書(不動産登記簿※法務局から取り寄せ)、固定資産税の納税通知書、金銭消費貸借契約書(住宅ローンの契約書)、住宅ローンの償還予定表
●車   ・・・自動車検査証(車検証)、ローンの償還予定表
●積立型保険
●私的年金・・・保険証券、保険証書
●企業年金・・・通知書(運営管理機関から年1~2回送付されるもの)
●株、有価証券・証書、証券会社から送付される取引残高証明書
借金  ・・・通知書、明細書(金融機関、ローン会社から送付されるもの)

③評価が必要な財産を査定に出す

①、②と並行して評価が必要な財産(不動産、車など)を査定に出します。

不動産➡ネットで調べる、不動産業者、不動産鑑定士に査定に出す など
車  ➡ネットで調べる、中古車買取業者に査定に出す など

 

④「財産分与対象額」を算出する

①~③まで終わったら、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、から②を差し引き「財産分与対象額」を算出します。

ここで「プラスの財産>マイナスの財産」の場合は、その差額が財産分与対象額となります。一方、「プラスの財産<マイナスの場合(債務超過)」となった場合は財産分与対象額を「ゼロ(マイナスとはしない)」とし、財産分与は行わないとするのが通常です。もっとも、後者の場合でも、夫婦間の話し合いで調整することは可能です。

たとえば、夫単独名義のマンション(1000万円)と夫単独名義の住宅ローン(1500万円)があり、その余の財産がないという場合、通常、財産分与は行いません。ただ、夫婦間の話し合いで、妻がマンションに住み続け、住宅ローンも支払っていく(マンションと住宅ローンの名義を妻単独にする※ただし、金融機関の承諾が必要)代わりに、夫が妻に250万円(=(1500万円-1000万円)÷2)を支払うとすることも可能です。

⑤分与割合について話し合う

財産分与に関しては、①~④を終えた段階で相手に話し合いを切り出します。①~④を追える前に話し合いを切り出すと、証拠を隠されたり、お金を使われるなどしてのちのち面倒なことになります。話し合いを切り出すタイミング、切り出し方には細心の注意を払う必要があります。

相手が話し合いのテーブルについたら、話し合いで財産分与の割合を決めます。財産分与の割合は、特段の事情(※)がない限り、「2分の1」が原則です。分与割合をめぐって話がまとまらない場合は調停を申し立てるほかありません。

※夫婦の一方の特殊な才能や専門性によって多額の財産を築いた(ただし、夫婦の一方の行為を絶対的に評価するのではなく、双方の行為を総合的、相対的に見て評価すべきです)、家を購入する際に夫婦の一方の原資(特有財産)を頭金に使った、など

⑥基本の取得分を計算する

分与割合について合意できたら、基本となる取得分額を計算します。計算式は以下のとおりです。

基本の取得分額=財産分与対象額(④)×分与割合(原則「2分の1」)

財産分与対象額1200万円、夫の分与割合「3分の1」、妻の分与割合「3分の2」の場合、夫の基本の取得分額「400万円」、妻の基本の取得分額「800万円」となり、妻は夫に400万円(=800万円-400万円)の支払いを求めることができます(金銭給付の場合)。

⑦未払婚姻費用があれば⑥に加算

婚姻費用とは婚姻生活から生じる費用(生活費)のことです。別居から離婚までの間はまだ婚姻関係が継続しているため、相手に負担を求めることができます。

もっとも、別居の際に何らかの事情で婚姻費用について取り決めておらず、一方の夫婦が過当に婚姻費用を負担していた場合は、財産分与の基本の取得分額に未払婚姻費用を加算して清算することが可能です。

 

⑧実際の分け方(金銭給付、現物給付、利用権の設定)を決める

最後に、共有財産の実際の分け方を決めます。前述のとおり、金銭給付による財産分与が多いですが、不動産などの現物給付による財産分与も可能です。金銭給付によるのか現物給付によるのかは、夫婦の一方が現物をどれだけ必要としているか、夫婦の資力などを考慮して決める必要があります(※)。

※よくあるケースが、監護親(子供と同居し養育する親)である妻が子供のことを考え、離婚後も非監護親である夫名義の家(マンション)に住み続けることを希望するというものです。仮に、家の評価額が2000万円、夫名義の住宅ローンが1500万円で、離婚後、妻が家に住み続ける場合は、・妻が夫に1250万円の代償金を支払い、夫が住宅ローンを返済していく
・妻が夫から家を借りるという形をとる(賃貸借契約を結ぶ、妻のための賃借権(利用権)を設定する)
のいずれかの方法を取ることが考えられます。

⑨強制執行認諾付き公正証書(離婚協議書)を作成する

財産分与はもちろん、親権、養育費、慰謝料、面会交流などの離婚条件について話がまとまったら、合意内容について取りまとめた書面(離婚協議書)を作成します。

また、金銭にかかわる財産分与、養育費、慰謝料について取り決めをしたら、必ず強制執行認諾付き公正証書を作成しましょう。強制執行認諾付き公正証書を作っておけば、将来、お金が支払われなくなった場合に、相手の財産を差し押さえて回収する手続きを取ることが可能になります。

離婚協議書と個別に作る必要はなく、協議書を公証役場にもっていき、公証人(公正証書を作る人)と打ち合わせをして、公証人が作成します。ただし、作成するには相手の同意が必要です。同意を得られた場合は、その旨を離婚協議書に記載しておくと安心です。

 

⑩調停を申し立てる

離婚に合意できない、離婚には合意したものの財産分与(あるいは、親権などその他の離婚条件)について話がまとまらない場合は離婚調停(夫婦関係調整調停(離婚))を申立てます。

また、離婚後も調停(財産分与請求調停)を申し立てることもできます。ただし、離婚後に財産分与請求できる期間(除斥期間)は「2年」です。2年を経過すると請求できなくなるおそれが高くなりますので注意が必要です。

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

行政書士、夫婦問題(離婚)カウンセラー | 大学卒業後、官庁勤務(約13年)→法律事務所勤務(約4年)を経て現在に至ります | 現在「離婚協議書、離婚公正証書の作成&サポート」、「夫婦問題・離婚カウンセリング
」業務を中心とする行政書士事務所開業に向けて準備中です | 本サイトでは離婚で役立つ情報をわかりやすく解説しています | 二児の父親 | 趣味はサッカー観戦と旅行

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