離婚の財産分与で家を分ける方法と住宅ローンがある場合の対処法

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■ 家は財産分与の対象になる?
■ 家を財産分与する前にやっておくべきことは?
■ 家が財産分与の対象となるかどうかの見分け方は?
■ 住宅ローンがある場合はどうすればいい?

この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容になっています。

離婚時に夫婦で分け合う財産にはいろいろあると思いますが、その中でも特に取り扱いが難しく、かつ、トラブルの原因にもなりかねないのが家(土地を含めた不動産)です。

そこで、この記事の前半では、家を財産分与する前にやっておくべきことを解説します。また、後半では、アンダーローンの場合とオーバーローンの場合とにわけてそれぞれでとりうる対処法について解説していきたいと思います。

家を財産分与する前にやっておくべきこと

家を財産分与する前にやっていただきたいことは次の確認です。

①家(土地を含む不動産)の名義
②住宅ローンの残額と名義
③財産分与の基準時
④家の評価額
⑤特有財産(頭金)の有無など

①家(土地を含む不動産)の名義

家の名義を確認する必要があるのは、仮に、家を売却することとした場合、「単独名義」だと単独名義人一人の判断で家を売却できますが、「共有名義」だと夫婦それぞれの同意がなければ売却することができないからです。また、家を売却せずに夫婦のいずれかが家に住み続ける場合も名義を変更する必要があります。

家の名義は不動産の「登記簿謄本(登記事項証明書(土地用、建物用))」で確認できます。登記事項証明書の「権利部(甲区)」の「権利者その他の事項」の欄を見てください。そこに「所有者〇〇〇〇」と一人の名前しか記載されていない場合は、その人の単独名義であることを示しています。一方、「共有者 持分 〇分の〇 〇〇〇〇(名前)(※)」などと書かれている場合は共有名義であることを示しています。

登記事項証明書はご自宅に保管しているはずですが、見つけることができない場合は法務局から取り寄せることも可能です(法務局に出向かずに、オンラインや郵送での取り寄せも可能です(➡参照:法務局 オンライン申請のご案内)。

②住宅ローンの残額と名義

住宅ローンを完済できていない場合は、住宅ローンの残額と名義を確認します。

後述しますが、「住宅ローン残額<家の評価額」であるアンダーローンの場合は、家は財産分与の対象なります。一方、「住宅ローン残額>家の評価額」であるオーバーローンの場合は、家は財産分与の対象とはなりません(ただし、家を売却すること自体が妨げられるわけではありません。また、話し合いで不動産を夫婦一方のものとすることも可能です)。この点をまず確認する必要がありますし、それぞれで取りうる手段が異なります。

住宅ローンの残額は債権者(住宅ローンを借りている相手=金融機関など)から配布された「償還(返済予定)表」で確認できます。紛失してしまった方は、債権者に問い合わせれば発行してくれます。

また、住宅ローンの残額とともに名義も確認します。住宅ローンが残っている場合は、離婚後も住宅ローンの名義人が住宅ローンを返済していくのが基本です。必ずしも「不動産の名義人=住宅ローンの名義人」とは限らない点に注意が必要です。

住宅ローンの名義人は、住宅ローンを組む際に債権者との間で交わした「金銭消費貸借契約書」などの書面で確認できます。

③財産分与の基準時

財産分与の基準時とは、いつの時点における財産(あるいは、評価額)を財産分与の対象とするのか、という話です。

家を財産分与の対象とする場合は、いつの時点の家の評価額を財産分与の対象とするかで、その後のわけ方が異なってきます。

離婚よりも別居が先行し、別居のまま離婚した場合は「別居時」、別居しないまま離婚した場合は「離婚時」を財産分与の基準時とします。

④家の評価額

前述のとおり、家の評価額は、そもそも家が財産分与の対象となるのか、家をどのように分けるのかに関係しますのでしっかり確認する必要があります。

家の評価額を調べる方法は以下の5通りです。

ア 固定資産納税通知書or固定資産評価証明書(※)で課税評価額を確認する
イ 国土交通省の土地総合情報システムを使う➡「不動産取引価格情報検索」
ウ インターネットで無料の一括査定に出す
エ 不動産業者に査定を依頼する
オ 不動産鑑定士に鑑定を依頼する
※固定資産納税通知書は毎年6月初旬~中旬頃、役所から自宅に郵送されます。固定資産評価証明書は不動産がある市区町村役場から取り寄せることができます。

アからオにいくにしたがって、正確な評価額を割り出すことができます。ただ、不動産鑑定士に鑑定を依頼する場合は20万円~40万円程度の費用がかかります。また、不動産業者は売却前提でなければ査定してくれないところもあります。いずれの方法を選択するにせよ、将来のトラブルを避けるためにも、夫婦でよく話し合って決めた方がよいです。

⑤特有財産(頭金)の有無など

特有財産とは共有財産(※1)を除いた財産です。家の財産分与で取り扱いが問題となりうる特有財産が頭金として使った

  • 夫婦の一方が婚姻前から貯めていた預貯金
  • 夫婦の一方が親族(親など)から援助してもらったお金

です。

こうしたお金がある場合は、まずはその金額を明らかにしてください。明らかにできた場合は、以下の手順で頭金を計算します。

ア 家(土地を含めた不動産)の購入価格に占める頭金の割合を計算する
(例)家の購入価格:3000万円、頭金:600万円(原資は妻の婚姻前の預貯金)
=600÷3000=20%

イ 家の評価額の下落分を考慮した頭金を計算する
(例)家の評価額:1800万円
=1800×0.2=360万円

仮に、家を1800万円で売却できた場合、単純計算で、妻は1080万円(=720万円(※2)+360万円(頭金分))を、夫は720万円を取得することになります。

なお、特有財産を主張する場合は、主張する側が頭金の有無や金額を証明する責任を負います。証明できない場合は、財産分与の対象に組み込まれてしまいます(上記の例で、妻の取得額は900万円(=1,800万円÷2))となります。

※1婚姻後に夫婦で協力して築いたと認められる財産。名義は問いません。
※2財産分与の割合は1/2が基本です。そのため、「(1800万円-360万円)÷2=720万円」が財産分与の対象額となります。

家を財産分与する方法(アンダーローンの場合)

前述のとおり、アンダーローンの場合、家は財産分与の対象となります。アンダーローンの場合は次のいずれかの方法で財産分与できないか検討します。

① 家を売却し、残ったお金を二人で分け合う(換価分割)
※なお、家が夫婦の共有名義の場合は、一方の判断だけで家を売却できません。まずは、売却するかどうか夫婦でよく話し合う必要があります。
② 夫婦の一方が家に住み、他方にお金(代償金)を支払う(代償分割)

①家を売却し、残ったお金を二人で分け合う(換価分割)

家を売却する場合は、次の手順で進めていきます。

【STEP1】 不動産業者を見つける

【STEP2】 不動産の売却、所有権移転登記・抵当権の抹消

【STEP3】 売却代金を清算・分配する

【STEP1】不動産業者を見つける

家を売却する場合は、通常、不動産業者に仲介を依頼することになるかと思います。また、家の査定も不動産業者に依頼することになるでしょう。不動産業者に仲介を依頼した場合は「仲介手数料」がかかります。

【STEP2】不動産業者が買手を見つけ、売買契約を締結する

不動産業者に依頼した後は、不動産業者が購入希望者を見つけて交渉します。話がまとまったら買手と売買契約を締結し、手付金の授受→登記に必要な情報・書類の確認→残代金の振込み→所有権移転・抵当権の抹消の登記、という順に進めていきます。

なお、登記は司法書士に依頼して行います(通常、不動産会社が指定する司法書士に依頼します)から、司法書士への報酬金が発生します。

【STEP3】売却代金を清算・分配する

家を売却した場合、

【家を売却した場合にかかる諸費用】
■ 仲介手数料
■ 登記にかかる諸費用(司法書士への報酬金、登録免許税)
■ 税金(印紙税、譲渡所得税)

がかかります。

そのため、売却代金から「住宅ローン」と「上記諸費用」を差し引いた後の残額を夫婦で分け合うことになります。

財産分与対象額=売却代金-(住宅ローン+売却時にかかる諸費用)

②夫婦の一方が家に住み、他方にお金(代償金)を支払う(代償分割)

夫婦の一方が家に住み続けることを希望する場合は、次の手順で進めていきます。以下では「家の名義:夫、住宅ローン名義:夫」のケースを使って具体的にみていきたいと思います。

【STEP1】 誰が住宅ローンを支払うかを話し合う

【STEP2】 住宅ローンの支払方法を話し合う

【STEP3】 債権者(金融機関等)と交渉し、同意を得る
※妻が住宅ローンを支払う場合

【STEP4】 代償金の支払い等を検討する

【STEP1】誰が住宅ローンを支払うかを話し合う

アンダーローンとはいえ、家を売却しない場合は住宅ローンは残り続けます。そこで、まずは離婚後、誰が住宅ローンを支払っていくかを決める必要があります。

この点、夫が住み続ける場合は夫が支払っていくのが通常でしょう(※)。一方、妻が住み続ける場合は夫が支払うのか、妻が支払うのか話し合って決める必要があります。

※連帯債務者、連帯保証人の場合は要注意!
夫婦の一方(今回のケースでは妻)が連帯債務者、連帯保証人の場合は要注意です。なぜなら、連帯債務者、連帯保証人も住宅ローンの支払義務を負っており、離婚したとしてもその義務が免除されるわけではないからです。今回のケースで仮に夫が住宅ローンの支払いを怠れば、妻が支払わなければなりません。なお、連帯債務者、連帯保証人から外れるには債権者(住宅ローンを貸している金融機関等)と交渉し、同意を得る必要があります。債権者の同意を得るには、代わりの連帯債務者、連帯保証人を立てるなどの対応が必要です。夫婦の合意だけで勝手に連帯債務者、連帯保証人から外れることはできません。

【STEP2】住宅ローンの支払方法を話し合う

住宅ローンを誰が支払っていくのか決めたら、今度は住宅ローンをどうやって支払っていくのかを話し合う必要があります。

この点、夫が支払っていく場合はこれまで通り支払っていけばよいわけですから特に何も決める必要はありません。一方、妻が支払っていく場合は主に次の方法によって支払っていくことが考えられます。

①履行引受け
➡妻が夫から住宅ローンの支払いを引き受ける方法。夫が毎月の住宅ローン分の金額を妻の口座に振り込み、妻が債権者に支払う。住宅ローンの実質的負担者は夫。

②免責的債務引受け
➡夫が住宅ローンの支払義務を免れる代わりに妻が住宅ローンの支払義務者となる方法。

③借換えによる債務者変更
➡新たに住宅ローンを組み、そのお金で現在の住宅ローンを返済し、新たに組んだ住宅ローンを返済していく方法。

④併存的債務引受け
➡今回のケースのように、夫が住宅ローンの単独名義の場合に、妻が夫とともに住宅ローンを返済していく方法。この場合、妻は夫の連帯債務者となります。
※家の名義を確認し、将来どうするかも話し合う
住宅ローンの支払方法とともに、家の名義をどうするかについても話し合っておく必要があります。住宅ローンの名義は夫単独でも、家の名義は夫婦の共有というケースもあります。住宅ローンの名義と家の名義はまったくの別物ですから、まずは登記簿謄本で家の名義もしっかり確認してください
家の名義が共有のままだと、将来トラブルにつながる可能性がありますから、離婚の際に単独名義とできないか検討する必要があります。一方、家の名義がどちらか一方のものでも、住宅ローンの契約(約款)によっては、住宅ローンを完済するまでは名義変更を認めないとされていることもあります。債権者の同意なく名義変更すると、住宅ローンの一括返済を求められることがありますので注意しましょう。

【STEP3】債権者(金融機関等)と交渉し、同意を得る

上記の①~④の方法を選択する場合は債権者との交渉し、同意を得る必要があります。つまり、ここでも夫婦の合意だけで住宅ローンの支払方法を変更できない点に注意が必要です。

④に関しては、債権者から見れば住宅ローンの支払いを請求できる人が一人増えたわけですから同意してくれる可能性は高いといえます。一方、②、③についてはそもそも妻に住宅ローンを支払っていけるだけの経済力がなければ同意を得ることは難しいといえます。また、①に関しても、家に住まない夫が住宅ローンの実質的な負担者となることについて敬遠される可能性があります。

履行引受け(①)の方法を選択する場合は、夫の妻に対する支払いが滞った場合への対策も取っておく必要があります。詳しくはご相談ください。

【STEP4】代償金の支払い等を検討する

最後に、家に住み続ける側が出ていく側に代償金を支払う方法により財産分与します。たとえば、分与対象財産が家のみで、家の評価額2000万円、住宅ローン残高1500万円の家に妻が住み続けるとします。この場合、妻の取得分は250万円(=(2000万円-1500万円)÷2)ですが、家全体を取得することで1750万円(=2000万円-250万円)過剰に財産を取得したことになります。したがって、妻は夫に1750万円の代償金を支払う必要があります(住宅ローンは夫が支払います)。

代償金を支払うことが困難な場合は、賃貸借権または使用権を設定した上で家に住み続ける方法もあります。ただし、夫が住宅ローンの支払いを怠った場合、債権者に抵当権を実行されて家を競売にかけられ、いずれは家を出ていかなければならなくなる可能性があります。

※「リースバック」も検討する
住宅ローンやローンの契約関係を清算した上で、なおかつ家に住み続けることを希望する場合は「リースバック」という方法もあります。リースバック(セール&リースバック)とは、家を不動産業者に売却した後、買手の不動産業者と賃貸借契約を結ぶことで家に住み続ける方法です。売却後も住み続けられるほか、住宅ローンや契約関係を清算できる点ではメリットです。一方、オーバーローンの場合は使えない(差額を自己資金で埋め合わせる必要がある)、家の評価額(売却価格)が相場より安くなる、賃貸借期間は期限を設けられ更新でないことがある、家賃が相場よりも高くなる、などのデメリットがある点に注意が必要です。リースバックについて詳しくお知りになりたい方は、まずは任意売却無料相談窓口へ相談していることをおすすめいたします。

オーバーローンの場合の対処法

前述のように、オーバーローンの場合、家は財産分与の対象とはなりません(家の評価額が3000万円、住宅ローンの残債が4000万円の場合、1000万円(=3000万円-4000万円)の負債を夫婦で分けるという話にはなりません)。

とはいえ、家や住宅ローンは残ったままですから、離婚前に家を売却するのか、住宅ローンを誰が払っていくかについてきちんと話し合い、取り決めておくことが必要です。以下ではオーバーローンの場合に取りうる対処法についてみていきましょう。

①家を売却する(住宅ローンを完済する)

オーバーローンの場合は、家についている抵当権(※)を抹消しない限り、家を売却できません。抵当権を抹消するには、家の評価額と住宅ローンの残債の差額を一括返済する必要があります。

※抵当権
住宅ローンの支払いが滞った場合に、債権者が家を競売にかけることができる権利。住宅ローンを組む際、債権者は必ずこの抵当権を設定します。債権者は抵当権を実行し、競売で得たお金を住宅ローンの未回収分のお金に充てることができます。家に抵当権がついていると競売のリスクがあることから、抵当権がついた家の買手はほとんどいません。オーバーローンの場合は住宅ローンを完済する➡家から抵当権を外す➡売却する、という手順を踏む必要があります。

②任意売却する

一括返済が難しい場合は任意売却を検討しましょう。

任意売却とは、競売によらずに、債務者(住宅ローンを借りている人)と債権者との話し合いで家を売却する手段です。競売に比べて高値で売却できる可能性がある、周囲に知られることなく手続きを進められる、売却後も住宅ローンの分割返済を認めてもらえることがある、などのメリットがあります。

一方、債権者は任意売却を受け入れると、抵当権を手放さなければいけません。ただ、売却後も住宅ローンの返済は続きますから、債権者とすればなるべく任意売却を受け入れたくはないはずです。任意売却の話し合いは難航することが予想されますから、売却の手続きは弁護士や専門業者(任意売却無料相談窓口に依頼するのが通常です。

③家の単独名義人が住み続ける

たとえば、家の名義が夫の場合、夫が家に住み続ける、というような場合です。住宅ローンの名義も夫単独の場合は、夫が住宅ローンを支払い続けます。

ただ、注意しなければならないのは、妻が住宅ローンの連帯債務者・保証人となっている場合です。そのままの状態だと、妻も依然として住宅ローンの返済義務を負い続けます。上記のようなケースで妻が家を出ていく場合は、可能な限り、妻を連帯債務者・保証人から外すことができないか、債権者を含めて話し合う必要があります。

④家の名義人でない人が住み続ける

家の名義が夫、住宅ローンの名義が夫で、妻が家に住み続ける、というような場合です。

この場合、やはりアンダーローンの箇所で解説したとおり、住宅ローンを誰が支払うのか、支払方法をどうするのか、家の名義をどうするのかきちんと話し合って決める必要がります。住宅ローン、家の名義ともに変更が難しい場合(債権者の同意が得られない場合)は、夫が住宅ローンを支払っていく旨を書面(離婚協議書、離婚公正証書)に残しておくことが大切です。

夫に確実に住宅ローンを支払ってもらうために、夫が住宅ローンを支払う旨を内容とした公正証書を作っておくことが有効です。詳細についてはお気軽にお尋ねください。

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。