車が財産分与の対象になる場合、ならない場合や分け方を解説します

離婚とお金
■ 車は財産分与の対象になる?
■ なる場合はどうやって分けたらいいの?
■ 分けるまでの手順を知りたい

この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容となっています。

離婚時に夫婦で分け合う財産は様々ですが、その中でも車が一番価値の高い財産という方も多いのではないでしょうか?また、通勤やプライベートで頻繁に車を使っている場合、どうやって分けたらいいのかお悩みの方も多いと思います。

そこで今回は、そもそも車が財産分与の対象となるのか、なるとしてどのような手順で、どう分けるのか、について解説したいと思います。

車が財産分与の対象となる場合、ならない場合

車が財産分与の対象となるのは、車が夫婦の共有財産にあたる場合です。車が夫婦の共有財産にあたるのは、次のようなケースです。

【車が共有財産にあたるケース】
■ 婚姻後に共有財産で車を現金購入した
■ 婚姻後にローンを組んで車を購入し共有財産からローンを返済している
■ 婚姻前に夫婦の一方がローンを組んで車を購入したものの、婚姻後は共有財産でローンを返済している
■ 車検代やメンテナンス費用など、車の維持にかかる費用を共有財産から支払っていた

なお、車の名義は共有財産か否かの判断に影響しません。たとえば、車の名義が夫の場合でも、上記のようなケースではやはり車は共有財産にあたり、財産分与の対象となります。

一方、車が財産分与の対象とならないのは、車が特有財産にあたる場合です。車が特有財産にあたるのは、次のようなケースです。

【車が特有財産にあたるケース】
■ 婚姻前か後かを問わず、夫婦の一方が特有財産で車を現金購入した
■ 婚姻前に夫婦の一方がローンを組んで車を購入し、婚姻後は購入した夫婦の特有財産でローンを返済している
■ 婚姻後に夫婦の一方がローンを組んで車を購入し、購入した夫婦の特有財産でローンを返済している
■ 車を親から相続した、親から贈与された

 

ローンが残っている場合、車は財産分与の対象となる?

ローンが残っている場合に車が財産分与の対象となるかは、ローンの残高が車の評価額を下回る「アンダーローン」の場合とその逆の「オーバーローン」の場合で結論がわかれます。

すなわち、アンダーローンの場合は、車は財産分与の対象となります。車の評価額(例:500万円)からローンの残高(例:300万円)を差し引いて出た額(200万円)を夫婦で分け合います(分与額100万円)。

一方、オーバーローンの場合は、車は財産分与の対象とはなりません。財産分与のリストから車を省いてください。ローンの残高(例:600万円)が車の評価額(例:400万円)を上回っても、マイナスの200万円(=600万円-400万円)を二人で分け合うことはしません(ただし、他の財産を含めて、トータルで「プラスの財産>マイナスの財産」となる場合はオーバーローンの車も財産分与の対象とすることは可能です)。

車を財産分与する前にやっておくべきこと

車を財産分与する前にやっておくべきことは次の2つです。

① 車の名義を確認する
② 車の評価額を調べる
③ ローン残高を確認する

①車の名義を確認する

まずは、車検証(自動車検査証)で車の名義を確認しましょう

車検証で見るべき箇所は「所有者の氏名又は名称」と「使用者の氏名又は名称」欄です。ローンを組んでいない、完済済みの場合は「所有者の氏名又は名称」欄に名義人の氏名がかかれています。

一方、ローンを返済中の場合は「所有者の氏名又は名称」欄にローン会社の名称が、「使用者の氏名又は名称」欄に実際に使用している使用者の氏名がかかれています(※)。なお、銀行などのローン(いわゆる「マイカーローン」)を組んでいる場合は所有権留保されない場合もあります。

※ローン会社の所有権留保
ローン返済中は、車にローン会社の所有権留保がついています。所有権留保とは、車は使用者に使用させておきながら、ローンが完済されるまで、車の所有権をローン会社に留めておくことです。住宅ローンを組む際に設定する抵当権のようなもので、ローンの返済が滞ると、ローン会社は強制的に使用者から車を引き取ることができ、その後は売却して、売却で得たお金をローンの未返済分に充てます。

②車を査定に出す

次に、車の評価額を調べます

おおよその評価額を調べるには、「レッドブック(正式名称:オートガイド自動車価格月報)を入手して調べる」か「インターネットの無料査定に出す」方法があります。一方、正確な査定額を出したい場合は、中古車買取業者に依頼して調べてもらった方がよいです。

③ローンの名義と残高を確認する

最後に、ローンが残っている場合はローンの名義と残高を確認しましょう

ローンの名義は夫(妻)が単独か、夫婦で組んでいる場合はいずれが連帯債務者(あるいは、連帯保証人)かを確認しましょう。ローン残高はローン会社から郵送される「償還予定表」で確認できます。紛失してしまった方は、ローン会社に問い合わせて再送してもらうとよいです。

車の財産分与の方法

車の財産分与の方法は次のとおりです。

ア 車を売却して、お金を分け合う
イ 夫婦のいずれかが車に乗り続け、乗らない方にお金(代償金)を支払う

ア 車を売却して、お金を分け合う

アンダーローンの場合(たとえば、車の評価額が200万円、ローン残高が100万円だった場合)は、50万円(=(200万円-100万円)÷2)を夫婦で分け合います。売却の手続きは中古車買取業者に依頼しましょう。

一方、オーバーローンの場合は評価額とローン残高の差額を一括返済し、ローン会社の所有権留保を解除した後でなければ売却できません。

イ 夫婦のいずれかが車に乗り続け、乗らない方にお金(代償金)を支払う

ご事情によっては、離婚後も車に乗り続けたいという場合もあるでしょう。ここでは「車の名義「所有者:ローン会社、使用者:夫」、ローンの名義「夫」」というケースを前提に、夫が車を乗り続ける場合と妻が乗り続ける場合をみていきましょう。

夫が車に乗り続ける場合

夫が車に乗り続ける場合は、夫が妻に50万円を支払います(財産分与の対象が車だけという極めて単純な話の場合)。車やローンの名義変更は必要なく、離婚後は夫がローンを返済していきます。

妻が車に乗り続ける場合

一方、妻が車に乗り続ける場合は、妻が夫に50万円を支払います。

なお、使用者が変更になりますから、使用者の名義変更(正式には「記載事項変更」)が必要です。

ローンを組んで車に所有権留保がついている場合(所有者と使用者が異なる場合)は、その年の4月1日時点で「使用者」だった人に自動車税が課されます(納付書の発送が5月初旬頃、納付期限が5月末日(ただし、各自治体によって異なります))。使用者の名義変更を行わないと、離婚後も夫が納税義務者となります。

【手続きを行う場所】
現住所(使用の本拠)を管轄する運輸支局等
(こちらで検索できます➡国土交通省 全国運輸支局等のご案内

【必要書類】
〇事前に準備する書類
■ 使用者の戸籍謄本(発行後、3か月以内のもの)
■ 使用者の委任状
■ 車検証
〇当日必要な書類
■ 申請書(運輸支局等の窓口で受け取る)
■ 手数料納付書(運輸支局等の窓口で受け取る)
■ 自動車税申告書(運輸支局等に隣接する税事務所で受け取る)

【費用】
無料(自分で行う場合)

また、使用者の名義変更と同時にローンの名義も変更する必要があります。

夫が返済を確約してくれる場合は変更する必要はないかもしれません。ただ、「自分が乗らない車のローンまで負担したくない」と考えるのが通常でしょうし、仮に、返済が滞った場合はローン会社の所有権留保に基づき、車を強制的に引き取られてしまう可能性があります。その意味でも、ローンの名義変更は必要といえます。

ローンの名義変更ができるかどうか(あるいは、借り換えができるかどうか)は妻の経済力しだいです。夫と同等、あるいはそれ以上の経済力があれば可能かもしれませんが、ない場合は難しいかもしれません。いずれにしろ、はやめにローン会社に相談してみましょう。

ローンを完済できないかどうか検討しよう

① 上記のケースで妻が車に乗り続ける場合
② オーバーローンの場合

はローンを完済できないかどうかも検討しましょう。

①の場合は、上記でみたように、ローンが残っていると妻に負担がかかる可能性があります。妻が車に乗り続けることを希望する場合は、ローンを完済してローン会社の所有権留保を解除し、車を正真正銘、妻のものとした方が安心です。

②の場合は、ローンの名義が夫(あるいは、妻)の単独の場合は問題ありません。一方、夫婦のいずれかがローンの連帯債務者・保証人となっている場合は、離婚後も連帯債務者・保証人となっている夫婦はローンの返済義務を負います。

代わりの人(自分の親など)を立てることができれば別ですが、そのようなケースは稀だと思われます。この場合も、ローンのことを精算するためにも、離婚前にローンを完済できないか検討する必要があります。

車に乗り続ける場合は所有者の名義変更もお忘れなく

  • ローンを完済して車に乗り続ける場合
  • 銀行のマイカーローンを組んでいる場合(返済中の場合)

で所有者の名義が変わる場合は、所有者の名義変更(変更登録)も忘れずに行いましょう。

万が一、名義が変わった日から15日以内に名義変更しなかった場合は「50万円以下の罰金」を科される可能性があります。

「ローンを完済して車に乗り続ける場合」は、所有者の名義をローン会社➡新所有者(車に乗り続ける人)に変更する必要があります。

★普通自動車★

【手続きを行う場所】
現住所(使用の本拠)を管轄する運輸支局等
(こちらで検索できます➡国土交通省 全国運輸支局等のご案内

【必要書類】
(ローンを完済した場合)
〇事前に準備する書類
■ 譲渡証明書(ローン会社から発行してもらう)
■ 印鑑証明書(ローン会社のもの)
■ 委任状(ローン会社から新所有者へ手続きを委任する書面)
※上記3つは、いずれもローン会社から取り寄せ
■ 印鑑証明書(新所有者のもの)
■ 新所有者の印鑑(印鑑証明の実印)
■ 自動車検査証
■ 車庫証明(新所有者に住所変更がなければ不要)
〇当日必要な書類
■ 申請書
■ 手数料納付書
■ 自動車取得税、自動車税申告書

(ローン完済以外の名義変更の場合)
事前に準備する書類
■ 戸籍謄本(発行後、3か月以内のもの)
■ 自動車検査証
■ 自動車保管場所証明書(住所を管轄する警察から取得する)
〇当日必要な書類
■ 申請書
■ 手数料納付書

【費用】
■ 登録手数料 350円
■ ナンバープレート交付手数料 約2,000円
(自動車登録番号の変更を行う場合)

★軽自動車★

【手続きを行う場所】
軽自動車検査協会
(こちらで検索できます➡軽自動車検査協会 全国の事務所・支所一覧

【必要書類】
■ 自動車検査証記入申請書(※事前に旧所有者から署名・押印をもらっておく)
■ 住所を証明する書類(住民票写し、印鑑証明書など)
■ 自動車検査証

【費用】
無料

所有者の名義変更を行う場合は、旧所有者の署名・印鑑が必要となる書類(自動車検査証記入申請書)もあります。名義変更は、できる限り、離婚前に済ませておきましょう。

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

行政書士、夫婦問題(離婚)カウンセラー | 大学卒業後、官庁勤務(約13年)→法律事務所勤務(約4年)を経て現在に至ります | 現在「離婚協議書、離婚公正証書の作成&サポート」、「夫婦問題・離婚カウンセリング
」業務を中心とする行政書士事務所開業に向けて準備中です | 本サイトでは離婚で役立つ情報をわかりやすく解説しています | 二児の父親 | 趣味はサッカー観戦と旅行

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