養育費の決め方は?算定表の見方から決める手順までを徹底解説します

離婚とお金
■ 養育費って何?
■ いつまで請求できるの?
■ 養育費はいくら請求できるの?
■ どうやって決めるの?
■ どのような手順で決めていくの?

この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容になっています。

養育費は子供の成長のために必要なお金ですから、できれば離婚前にきちんと取り決めていただきたいです。ただ、取り決めるとなるとどうやって決めていいのか、どういう手順を踏めばよいのか、決め方がわからない、という方も多いと思います。

そこで、この記事では養育費の金額面、手順面から、養育費の決め方を中心にに解説していきたいと思います。

養育費とは

養育費とは、親の未成熟子に対する扶養義務に基づき負担しなければいけない費用のことです。

離婚したとしても親と子供との関係は変わりませんから、離婚後、子供と一緒に暮らし子供を扶養する親(監護親)はもちろん、子供と離れ離れに暮らす親(非監護親)も養育費を負担し続けなければいけません。

養育費を受け取るのはいわば子供の権利といえますから、親の都合で養育費を負担しないとすることはできません(※)。親権をもつ親は子供のためにもきちんと養育費の取り決めを行っておくべきといえます。

※養育費を請求しない旨の合意
親同士で養育費を請求しない旨の合意をすることは原則として有効と考えられています。もっとも、親は子供を扶養する義務を負っており、この扶養義務に基づいて子供は親(非監護親)に対して扶養料を請求できる権利を有しています。かかる権利は養育費の不請求の合意がなされても放棄されたことにはなりません。つまり、非監護親は、養育費の不請求の合意をした後でも、子供(子供が20歳未満の場合は監護親)から扶養料の支払いを請求される可能性がある点に注意が必要です。

養育費はいつまで請求できる?

前述のとおり、養育費の対象となるのは「未成年者」ではなく「未成熟子」です。未成熟子とは、経済的に自ら独立して自己の生活費を獲得すべき時期の前段階にあって、いまだ社会的に独立人として期待されていない年齢にある子をいいます。

法律で一律に何歳と規定されているわけではありませんから、養育費を請求できる期限は個々の未成熟子の成長度合いに応じて異なるということになります。成人したからといって、直ちに未成熟子でなくなるわけではありません(養育費を請求できなくなるわけではありません)。

近年は、高校卒業後に進学するケースも多いですから、養育費の期限は

  • 「子が満22歳となった以降の最初の3月まで」
  • 「子が大学を卒業する(学士称号を得る)年の3月まで」
  • 「満20歳になった年の3月まで」

などとした方が安心です。また、法務省でも上記のような取り決めとすることが推奨されています。

なお、2022年(令和4年)4月1日から成人年齢が現在の「20歳(以上)」から「18歳(以上)」へと引き下げられます。ただ、同日以降も「20歳以上の者」を成人と思っている人も一定数おられると思います。

そのため、養育費の期限を「子が成人に達するまで」とか、「子が成年に達するまで」とすると、養育費を請求できるのが18歳に達するまでなのか、20歳に達するまでなのか、解釈をめぐってトラブルとなることも想定されます。こうしたトラブルを予防する意味でも、養育費の期限は具体的なものにした方がよいです。

参考:法務省「成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について」

養育費の決め方~金額面

養育費の金額を決める際は、家庭裁判所のホームページが公表している算定表(←クリック)を参考にします(※1)(ただし、お互いが合意できれば、算定表の金額にとらわれる必要はありません)。

算定表では、権利者(=養育費を請求する親=算定表の横軸)と義務者(=養育費を支払う親=算定表の縦軸)の年収(※2)をもとに(給与所得者・自営業者別)、義務者が権利者に支払うべき養育費を算出しています。子供の人数、年齢によって表が分かれていますので、ご自分に合う算定表を選択してください。

なお、算定表で提示されている金額は子供一人あたりの金額ではなく、月々の合計金額です。少なく感じるかもしれませんが、それは、権利者の養育費の負担分が加味されているからです。算定表に含まれている養育費の費目は「子供の衣食住にかかる費用」、「医療費」、「交通費」、「小遣い」、「適度な娯楽費」、「教育費(※4)」です。

※1算定表(←クリック)の見方
【例】権利者の給与年収が115万円、義務者の給与年収が510万円の場合。それぞれ高い数値の方を基準とします。すなわち権利者は「125万円」、義務者は「500万円」を基準にします。そして、権利者は上に義務者は右に線を伸ばして交差して時点(6万円~8万円が養育費の目安(算定表は子供二人(0歳~14歳まで)分の一カ月の養育費の目安)となります。
※2  年収の求め方
直近1年の年収を基準とします。児童手当、児童扶養手当など子供のための社会保障給付は権利者の年収には含めません。
〇給与所得者の場合
源泉徴収票(※3)に書かれてある「支払金額(所得税等が控除されていない金額)」が年収となります。ほかにも収入がある場合(収入を証明できる場合)は、加算します。
〇自営業者の場合
確定申告書の「課税される所得金額」に、各種控除(配偶者控除、基礎控除、青色申告控除など)や支払いがなされていない専従者給与を加算したものが年収となります。
※3 1年間の年収(=収入)や所得(年収から給与所得控除額が差し引かれた額)、税金(源泉徴収票では「源泉徴収税額」と記載)等がわかる書類。会社が年末調整を行った後の毎年12月に会社から従業員(正社員、パート、アルバイト)に発行されます。法律で発行することが義務付けられています。紛失した場合は、会社の担当者に頼めば発行してもらえます。
※4 算定表が前提としているのは公立高校までの教育費です。私立(小中高)、高校大学(4年生、短期)、専門学校の教育費については、子供がすでに私立に通っている場合、義務者が私立に通うことに承諾していた場合は養育費とは別に(一部、あるいは全額の)負担を求めることができます。その他、父母の学歴、職業、資産、収入、子供の学習意欲や能力、居住地域の進学状況等に照らして私立への進学が相当と認められる場合にも負担を求めることができます。また、塾や習い事でかかる費用も、子供がすでに通っている・習い事をしている場合、義務者が承諾している場合は負担を求めることができます。これからという場合は、子供の年齢や希望、成長具合等に照らし、必要と認められる範囲の負担を求めていくことになります。

養育費の決め方~手順面

次に、養育費の決め方の手順面についてみていきましょう。

① 離婚後の収支(見込み)を計算する

話がまとまる→YES→②強制執行認諾付き公正証書を作成する

NO

③調停を申立てる

①離婚後の収支(見込み)を計算する

まずは、可能な限り、離婚後の養育費以外の収入面(給料、児童手当、児童扶養手当のうち給料)を確定させましょう。

職に就いている人は現在の仕事をそのまま続けるのか、続けられるのか、転職の必要はないかなどを検討しましょう。また、無職の人は就職、就職のための資格取得、スキルアップを検討し、仮に就職できた場合は給料がいくらなのか確認しておく必要があります。

その後、支出面も確定させた上で、相手に「子供を養育するにはこれだけ必要」と伝えると説得力が増します。もっとも、算定表の金額を大幅に超える金額を伝えるとトラブルとなり、話がまとまらなくなる可能性があります。

また、算定表で見たとおり、養育費だけですべての生活費を賄うことはできませんし、常に未払いというリスクを抱えています。養育費はあくまで「貯蓄にまわす」というくらいに考えていた方が無難です。

相手の年収が適切かを見極める

養育費の金額は相手の年収にも左右されますから、相手の年収が適切か見極めることも必要です。まずは、前述のとおり、源泉徴収票や確定申告書でしっかり確認しましょう。相手が源泉徴収票、確定申告書を提示しなかったり、相手が主張する年収に不満がある場合は調停を申立て、裁判所を通じて提示を求めていきます。

子供ごとに支払い条件について話し合う

算定表を参考にして毎月の養育費の金額について合意できたら、今度は最低限、次のことについて話し合いましょう。

【最低限、話し合うべきこと】
■ 支払いの始期(いつから)
※(例)「離婚が成立した月の翌月から」など
■ 支払いの終期(いつまで)
※「養育費はいつまで請求できる?」を参照
■ 養育費の金額
■ 支払期限
■ 振込手数料の負担
※通常、相手方負担
■ 振込先口座(〇〇銀行、✕✕名義、口座の種類(普通・当座)、口座番号)

子供が2人以上いる場合は、取り決めるべき内容が子供ごとに異なりますので、子供ごとに条件を話し合う必要があります。養育費について話し合う際に便利な「養育費取り決めシート(←クリックしてダウンロード)を作成しましたので、よろしければご活用ください。

②強制執行認諾付き公正証書を作成する

養育費の金額、支払い条件について話がまとまったら、養育費以外の条件面(親権、財産分与、慰謝料、面会交流など)も含めた書面を作成します。

書面は強制執行認諾付き公正証書を作成します。強制執行認諾付き公正証書とは、「もし、将来、養育費(及びその他の金銭)の支払いを怠った場合は、財産(給料など)を差し押さえられる手続きを取られてもかまいません」という相手の承諾文言を入れた公正証書のことです。

この公正証書を作っておけば、公正証書自体が債務名義(財産を差し押さえるために必要な書面)となり、債務名義を得るための裁判を起こす必要がなくなります(ただし、財産を差し押さえるための申立ては必要です)。また、相手に心理的なプレッシャーをかけることもでき、養育費の未払いの予防も期待できます。

 

③調停を申立てる

そもそも離婚について合意できないため養育費についても話がまとまらない、離婚については合意できているものの養育費について話がまとまらない場合は調停を申立てましょう。

前者の場合は「夫婦関係調整調停(離婚)」という調停を、後者の場合は「養育費請求調停」を申し立てます。また、離婚した後も調停(養育費請求調停)を申立てることは可能です。

前述のとおり、子供が未成熟子の間はいつでも申し立てることができます。一度決めた養育費の金額、支払い条件等に変更の費用が生じた場合は、まずは親同士で話し合い、話がまとまらない場合は調停を申立てます。

参照:夫婦関係調整調停(離婚) | 裁判所
参照:養育費請求調停 | 裁判所

養育費の増額・減額は認められる?

一度取り決めた養育費を変えないまま過ごせる保障はありません。子供の進学や大病などで予想もつかなかった出費が必要となり、養育費の増額を希望することも出てくるかもしれません。あるいは、相手の失業や再婚などによって、相手がこれまでどおり養育費を支払うことが難しくなり、相手から減額を要求されるかもしれません。

取り決め後に生じた事情の変化は養育費の増額・減額の理由になりえますが、かといってどんなケースでも増額・減額できるわけではありません。どんなケースであれば養育費を増額・減額できるのか、自分のあるいは相手の再婚は養育費を増額・減額させる理由になりえるのか、、この点については以下の記事で詳しく解説しています。

 

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士 小吹 淳
HP :https://rikon-gyouseishoshi.com/

離婚協議書、離婚公正証書をはじめとする家族(夫婦)間契約書を中心に作成する行政書士です。書面作成、その他面談等ご希望の方は、本サイトの「お問い合わせ」又は上記HPの「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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