養育費を増額・減額できる条件、認められやすいケース、方法を解説

離婚とお金

■ 養育費を増額したい
■ 養育費を減額したい
■ どんな条件、ケースなら増額・減額できるの?
■ 増額・減額する方法を教えて

この記事では上記のような疑問、お悩みにお応えする内容となっています。

一度取り決めた養育費を変わらず受け取れる、支払っていけるとは限りません。取り決めた後の事情の変化によって養育費を増額・減額しなければならないケースも出てくるかと思います。もっとも、養育費は子供の成長に欠かせないお金であるところ、いかなるケースでも養育費を増額・減額できるとなれば、子供の成長に悪影響を及ぼしかねません。

そのため一定のケースに限って養育費を増額・減額できるわけですが、この記事では、いかなるケースなら養育費を増額・減額できるのか、仮にできるとしてどのような手順を踏めばよいのか解説したいと思います。

養育費を増額・減額できる条件

養育費を増額・減額するためには、いったん取り決めた額を維持することが当事者のいずれかについて相当でないと認められる程度の「重要な事情の変更」が生じたといえることが必要です。

また、取り決めの時点で事情の変更を予見し、予見しうることができた場合は、その事情を考慮して養育費を決めておくべきだった、ということになります。そのため、増額・減額が認められるには、養育費の取り決め時に重要な事情の変更を予見し、予見しうることができなかったことが必要です。

さらに、ギャンブル等で勝手に借金を作っておきながら養育費の増額・減額の主張をするのは不当です。そのため、重要な事情の変更が当事者の責めに帰することができない事由によって生じた、といえることも必要といえます。

【養育費の増額・減額が認められるための条件】
①養育費を取り決めた後に事情の変更が生じたこと
②事情の変更が重要な事情の変更といえること
③取り決め時、当事者が重要な事情の変更を予見し、予見しうることができなかったこと
④重要な事情の変更が当事者の責めに帰することができない事由によって生じたといえること

養育費の増額・減額が認められやすいケース

では、具体的にどんなケースで養育費を増額・減額できるのかみていきましょう。

【増額が認められやすいケース】
■ 進学による学費の負担が増えた
※私立の小中高、大学に進学させる場合は義務者(養育費を払う親)が承諾していることが基本。
■ 子供が大病を患った、大怪我をした
■ 権利者(養育費を受け取る親)が大病を患った、大怪我をしたことにより収入が減った
■ 権利者の失業・転職により収入が減った
■ インフレによって物価が上昇した
■ 義務者の収入が増えた

【減額が認められやすいケース】
■ 進路変更によって学費が減少した
■ 義務者が大病を患った、大怪我をしたことにより収入が減った
■ 義務者の失業・転職により収入が減った
■ 権利者の収入が増えた
■ 義務者の再婚で、再婚相手との間に子供ができた
■ 権利者が再婚し、再婚相手と子供とが養子縁組をした

養育費の増額・減額をするための方法・手順

養育費を増額・減額するには以下の方法・手順で進めていきます。

①条件をクリアするか検討する

②希望額を検討する、必要な資料を集める

③話し合いをもちかける(※状況によっては内容証明を検討)

話がまとまる→YES→④強制執行認諾付き公正証書を作る

NO

⑤調停を申し立てる

という順に進めていくのが基本です。

①条件をクリアするか検討する

まずは、「養育費を増額・減額できる条件」でご紹介した条件をクリアするか検討します。「養育費の増額・減額が認められやすいケース」と同程度のケースかどうか検討してみる必要があります。判断が難しい場合は弁護士に相談するとよいです。

②希望額を検討する、必要な資料を集める・作る

条件をクリアし、養育費を増額・減額できると判断できた場合は、家庭裁判所が公表している算定表を参考に、養育費の希望額を検討します。また、養育費の増額・減額の主張に説得力をもたせるために、必要な書類を集めたり、家計収支表などを作っておくとよいです。

③話し合いをもちかける

話し合いをせずいきなり調停を申し立てることもできますが、申し立てられた側からすればいい気持ちはしません。そこで、可能であれば、話し合いをもちかけてみましょう。

また、話し合いをスムーズに進めるためにも、普段から親同士で意思疎通を図り(特に子供に関する情報提供を行う)、面会交流について協力的でいることが必要です。話し合いでは、相手の同意がある限り、算定表の金額にとらわれる必要はありません。

 

内容証明で話し合いをもちかけるのも一つの方法

話し合いをもちかけても相手が応じてくれない場合は、相手の住所宛に内容証明で養育費の請求書面を送ってみるのも一つの方法です。内容証明は、いつ、どんな文章が、誰から誰に郵送されたのかを郵便局側が証明してくれる郵便制度です。

内容証明を普段する手にする人は少ないですし、文章の内容を工夫すれば(※)相手にプレッシャーをかけて話し合いのテーブルにつかせることが期待できます。もっとも、相手によっては逆効果となる可能性もありますので、この手段を使うかどうかは慎重に判断する必要があります。

※話し合いに応じなければ裁判も辞さないなどの文言を含める、弁護士に依頼して弁護士名義の文章にするなど

④強制執行認諾付き公正証書を作る

話し合いで話がまとまったら、公証役場で強制執行認諾付き公正証書(以下、公正証書といいます)を作成する手続きを取りましょう。この公正証書は「養育費の支払いが滞ったら、自分(義務者)の財産を差し押さえる手続きを取られてもかまいません」という義務者の認諾文言が入った書面のことです。

公正証書を作っておけば、相手にプレッシャーとなりますから養育費をきちんと払ってくれるようになします。また、万が一、支払いが滞った場合は、公正証書を債務名義にして財産を差し押さえる手続きを取ることが可能です。

 

⑤調停を申し立てる

そもそも話し合いができない、話し合いはできるもののまとまらない、という場合は養育費請求(増額・減額)調停を申立てます。

調停委員が当事者の間に入る分、話し合いがスムーズに進む可能性があります。また、裁判所から相手に資料の提示を促してもらったり、調査嘱託をかけて相手の収入等を調査してもらうこともできます。もっとも、調停も話し合いで解決する場ですから、そもそも相手が調停に出席しない場合は調停不成立です(再度の申し立ては可能です)。

一方、出席して合意が成立しない場合は調停不成立ですが、この場合は自動的に「審判」という手続に移行します。審判では、これまでの経過を踏まえた上で、裁判官が養育費の増額・減額を認めるか、認めるとしていくらの増額・減額を認めるのかを判断します。

養育費の増額・減額のトラブル防止策

養育費については、養育費を増額・減額できるケースをめぐって、当事者間で争いとあることが多いです。こうしたトラブルを避けるには、あらかじめ当事者間で養育費を増額・減額できないケースを取り決め、その内容を書面(離婚前であれば離婚協議書、離婚公正証書)にまとめておくのも一つの方法です。

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士 小吹 淳
HP :https://rikon-gyouseishoshi.com/

離婚協議書、離婚公正証書をはじめとする家族(夫婦)間契約書を中心に作成する行政書士です。書面作成、その他面談等ご希望の方は、本サイトの「お問い合わせ」又は上記HPの「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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