■ どんな財産を財産分与の対象に含める?
■ 含める財産、含めない財産は?
■ 共有財産、特有財産って何?
この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容となっています。
離婚で財産分与するにあたっては、まずはある財産が特有財産なのか共有財産なのか区別できなければいけません。そこで、この記事では、特有財産とは何か、共有財産との違いは何かについて詳しく解説したいと思います。
なお、そもそも財産分与とは何なのか詳しくお知りになりたい方は、以下の記事を読んでみることをおすすめします。
特有財産とは
特有財産については民法という法律で次のように規定されています。
(夫婦間における財産の帰属)
第七百六十二条
1 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
つまり、特有財産とは「①婚姻前から有していた財産」、あるいは「②婚姻中に自己の名で得た財産」の2種類ということになります。特有財産は固有財産と表現されることもあります。
①にあたる財産としては、
■ 預貯金(※1)
■ 不動産(土地・建物)
■ 車
■ 家電・家財道具
■ ギャンブルや趣味で作った借金、ローン(※2)
■ 私的年金・企業年金(※3)
■ 退職金(※3)
■ 婚姻前に行った投資の配当金
■ 婚姻前のお金を原資として行った投資の配当金
などがあります。
また、②の「自己の名で得た財産」とは、具体的には「ア 婚姻中に相続・贈与等で得た財産」、「イ 婚姻後に購入した物ではあるけれど、衣服等明らかに夫婦の一方しか使用しない物」のことです。
アの例として、親等の親族が死亡した際に引き継いだ現金、預貯金、不動産、車などがあります。また生前に贈与された財産も特有財産です。イの例としては、自分しか使わない家財(男女の区別のある装飾品、スマホ、服、靴など)をあげることができます。
特有財産にあたるとどうなる?
特有財産は財産分与の対象財産から外すのが基本です。もっとも、夫婦の一方の特有財産であっても、他方の配偶者がその価値の減少を防止し、その維持に寄与・貢献したと認められる場合には、例外的に特有財産であっても財産分与の対象となりえます(東京高裁昭和55年12月16日、京都地裁平成5年12月22日など)。
共有財産とは
一方、共有財産は財産分与の対象になります。共有財産とは「夫婦共有名義の財産」、あるいは「婚姻後に夫婦が協力して築いたと認められる財産」をいいます。詳細は以下の記事で詳しく解説しています。
共有財産の中に特有財産が混在していたら?
共有財産と特有財産を明確にわけることができればよいのですが、財産によっては両者が混在している財産もあります。たとえば、現在の夫名義の口座の預貯金(共有財産)に、夫が婚姻前から貯めていた預貯金(特有財産)が混在しているような場合です。
仮に、離婚時の財産分与の話し合いにおいて夫が妻に金銭の支払をしなければならないという話に及んだ場合、夫とすれば特有財産が含まれていると主張し、妻とすれば含まれていないと主張したいところだと思います。
このように両者の意見が対立した場合は、夫が共有財産の中に特有財産が含まれていることを主張・立証しなければなりません。もし、夫が特有財産が含まれていることの立証ができない、あるいは立証に失敗した、という場合は共有財産とされ、財産分与の対象となります。
今回の内容は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。