離婚に理由は必要?男女別の離婚原因や裁判上の離婚事由を解説

離婚の基礎知識

■ みんなどんな理由(原因)で離婚しているの?
■ 離婚するには明確な理由が必要?

この記事では上記のような疑問、悩みにお応えする内容になっています。

誰しも離婚するにはそれなりの理由(原因)があると思いますが、他の離婚した夫婦がどんな理由で離婚しているのか気になりますよね。

そこで今回は、男女別の離婚理由をご紹介した上で、離婚するにあたって離婚理由が必要なのか、裁判上の離婚理由とは何なのかについても詳しく解説したいと思います。

離婚理由「第1位」は?

離婚理由に関しては、以下のとおり、裁判所が統計をとっていますのでまずは見てみましょう。

まずは、夫の離婚理由からです。

【夫】           (総数:15,500)

順位離婚理由
性格が合わない9,240
2その他3,173
3精神的に虐待する3,159
4異性関係2,132
5家族親族と折り合いが悪い1,964
6浪費する1,883
7性的不調和1,749
8暴力を振るう1,454
9同居に応じない1,359
10家庭を捨てて省みない764
11不詳750
12生活費を渡さない686
13病気571
14酒を飲みすぎる381

引用:令和2年度司法統計 | 第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別

続いて、妻の離婚理由です。

【妻】    

順位離婚理由
性格が合わない16,304
2生活費を渡さない13,235
3精神的に虐待する10,948
4暴力を振るう8,576
5異性関係6,506
6その他4,714
7浪費する4,020
8家族を捨てて省みない3,013
9不詳3,361
10性的不調和2,808
11家族親族と折り合いが悪い2,647
12酒を飲みすぎる2,618
13同居に応じない722
14病気660

引用:令和2年度司法統計 | 第19表 婚姻関係事件数-申立ての動機別申立人別

以上より、男女ともに「性格が合わない(性格の不一致)」が離婚理由のトップです。やはり、婚姻生活を送るにあたっては性格や価値観は大事なことだなと改めて感じます。

ただ、夫婦はもともと血のつながっていない赤の他人。生まれや育ちが異なりますから、性格や価値観が違って当然です。そこをうまく擦り合わせていくことが夫婦生活では必要なのですが、そこがうまくできずに離婚に至ってしまう方が多いということの現れかもしれませんね。

その他、男女ともに「精神的虐待(モラハラ)」、「異性関係(不貞、不倫・浮気)」が離婚理由の上位にあること、男性では「性的不調和(セックスレス)」、女性では「生活費を渡さない(悪意の遺棄)」、「暴力を振るう(DV)」が上位にきているのが特徴的です。

なお、上記の統計は、離婚調停(※)を申し立てた申立人の申立ての動機です。また、申立ての動機は1つに限られるものではありませんし、数ある動機のうち3つまでに限定していますから、必ずしも正確な離婚理由を反映しているわけではない点に注意が必要です。

※調停
話し合い(協議)で、離婚や離婚の条件について合意できなかった場合に活用できる裁判所の手続き。調停では調停委員が当事者の間に入って話を取りまとめ、話し合いによる解決を目指します。

協議、調停では離婚理由は必要ではない!?

ここまで離婚理由をみてきましたが、実は、協議、調停の段階では、離婚するにあたって明確な離婚理由は必要ありません

協議、調停の段階では離婚に合意し、あとは子供がいる場合は最低限、親権者さえ決めてしまえば離婚はできます(養育費、財産分与、面会交流などは、離婚後に話し合うことも可能です)。つまり、協議、調停の段階では明確な離婚理由は必要ではなく、お互いの「離婚したい(しよう)」という意思さえ合致すれば、たとえ離婚理由が「離婚したいからしたい。それ以外の理由はない」という曖昧なものでも離婚できるのです。

 

裁判上の離婚理由は5つ

一方、離婚の手続きが調停を経て裁判まで至るとそういうわけにもいきません。つまり、裁判で離婚するには、法律で規定されて離婚理由(裁判上の離婚事由)が必要となります。また、裁判では、裁判を提起する側が裁判上の離婚事由を証拠によって証明する必要があります。

不貞

不貞とは、配偶者がその自由意思で、あなた以外の第三者と肉体関係を結ぶことをいいます。不貞と不倫・浮気とは明確に区別されます。不倫・浮気は裁判上の離婚事由にはあたりません。

 

悪意の遺棄

法律上、夫婦は次の3つの義務を負っているとされています(民法752条)。悪意の遺棄とは、配偶者が故意にこの3つの義務を怠ることをいいます。

■ 同居義務:夫婦が同じ屋根の下で生活する義務
■ 扶助義務:お互いが同じレベルの生活を送れるように生活費を負担し合う義務
■ 協力義務:力を合わせて暮らしを維持する義務

悪意の遺棄というためには、単に義務違反があるだけでは足りません。「これをやったら夫婦生活が破綻するだろう」ということをわかった上でやっている、あるいは、破綻してもかまわないという認識でやっている、といえることが必要です。

3年以上の生死不明

配偶者と最後にコンタクトを取ってから3年以上経過した場合は、裁判上の離婚を提起することができます。単に行方がわからなくても配偶者からの連絡があり、生きていることが明らかな場合は「生死不明」にはあたりません。この場合は、「悪意の遺棄」か後記の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」を理由として裁判を提起します。

強度の精神病にかかり、回復の見込みがない

夫婦が協力し合っても生活していくことが難しいほどに、配偶者が重い精神病を患っている場合も裁判上の離婚事由として認められます。ただ、前述のとおり、夫婦はもともと助け合って生きていく義務を負っていますから、配偶者が重い精神病を患ったというだけでは足りません。

配偶者が重い精神病を患ったことに加えて、長期間精神病を患っており回復の見込みがない、これまであなたが配偶者を献身的に支えてきた、離婚後の配偶者の生活環境が整っている、という事情が必要です。また、裁判ですからこれらの事情を証拠によって証明していく必要もあります。

その他婚姻を継続し難い重大な事由

ここまでご紹介した4つの裁判上の離婚事由は限定的に列挙されたものであって、この4つ以外の理由については「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるとして裁判で主張していくことになります。

その他婚姻を継続し難い重大な事由としては

■ 性格の不一致
■ DV、モラハラ
■ 浪費
■ 家庭をかえりみない
■ 配偶者の親族との不仲
■ 宗教へののめり込み
■ 病気、薬物、飲酒依存(強度の精神病以外)
■ セックスレス

をあげられます。

単にこれらの事由に該当するだけでは足りず、婚姻関係が破綻して回復の見込みがない、といえる状態でなければいけません。回復の見込みがないかどうかは、これまでの経緯、婚姻中の夫婦の関係性、婚姻を継続する意思、別居の有無、別居期間、子供の有無、などの様々な諸事情を勘案して、ケースバイケースで判断されます。

あなた自身の離婚理由を明確にしよう

これまで数々の離婚理由をご紹介してきましたが、離婚理由は個々人によって異なりますし、「これが離婚理由だ!」と胸を張っていえる方はそう多くはないと思います。ただ、配偶者と縁を切るか切らないかという人生の岐路に立っている今、自分自身で離婚理由を考えることはとても大切なことです。

自分自身で離婚理由を考えることで、離婚に踏み切るのか、やっぱり諦めて修復の道へと進むのか考えるきっかけにもなります。また、離婚するまでには様々な壁を乗り越えていかなければいけませんから、その壁を乗り越えていくためにも、まずは「自分は離婚するんだ」という確固とした意志固めをしておくことが大切です。

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

行政書士、夫婦問題(離婚)カウンセラー | 大学卒業後、官庁勤務(約13年)→法律事務所勤務(約4年)を経て現在に至ります | 現在「離婚協議書、離婚公正証書の作成&サポート」、「夫婦問題・離婚カウンセリング
」業務を中心とする行政書士事務所開業に向けて準備中です | 本サイトでは離婚で役立つ情報をわかりやすく解説しています | 二児の父親 | 趣味はサッカー観戦と旅行

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