■ 証人になれる条件は?
■ 親族以外の人でも証人になれるの?
■ 証人に離婚届にサインしてもらう際の注意点を知りたい
この記事は上記のような疑問、悩みにお応えする内容となっています。
婚姻届と同様、離婚届にも証人がサインする欄が設けられており、証人にサインしていただく必要があります。そして、通常、証人には自分の親など身近な方になってもらう方が多いと思いますが、一方で頼める人がおらず、誰に証人になってもらおうかお悩みの方もおられると思います。
そこで、この記事ではどんな人に証人になってもらえるのか、条件は何か、自分の親など身近な人以外でも証人になれるのか、など離婚届の証人にまつわる様々な疑問について解説していきたいと思います。
離婚届の証人は20歳以上の第三者なら誰でもよい
離婚届の証人は「20歳以上(成年)であること(※)」、「夫婦以外の第三者であること」という二つの条件を満たしていれば誰でもなることができます(民法764条、739条)。つまり、自分の親に限らず、兄弟姉妹、職場の上司・同僚、友人・知人やご自身の子供でも証人になることが可能です。
(婚姻の規定の準用)
第七百六十四条 第七百三十八条、第七百三十九条及び第七百四十七条の規定は、協議上の離婚について準用する。(婚姻の届出)
第七百三十九条
1 婚姻は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。
2 前項の届出は、当事者双方及び成年の証人二人以上が署名した書面で、又はこれらの者から口頭で、しなければならない。(成年)
第四条 年齢二十歳をもって、成年とする。
離婚届の証人を探す前に知っていただきたいこと
次に、離婚届の証人を探す前に知っていただきたいことをご紹介します。
夫婦それぞれから証人を出す必要はない
離婚届の証人は2人必要です。ただ、夫婦それぞれが証人を探さなければならないとなると、相手が非協力的な場合、離婚届を提出することができなくなってしまいます。
そこで、離婚届の証人は、夫婦のいずれか一方が2人の証人を選んでもよいことになっています。こうすれば、離婚届の「届出人」の欄に相手のサインさえもらえば、あとは自分だけで離婚届を提出するということも可能ですね。
証人が不要な場合がある
離婚届の証人が必要なのは協議離婚で離婚した場合のみです。
それ以外の、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の場合は、裁判所という公的機関を通じて離婚が成立していますから、証人は不要です。
離婚届の証人が法的な責任を負うことはない
証人と聞くと、法廷の証言台に立って証言する「証人」をイメージし、「証人に離婚の責任を負わしてしまうのではないか?」と考える方もおられるかもしれません。ただ、離婚届の証人は「夫婦の離婚の事実を知っている人」、「離婚を見届けた人」という程度の意味で、離婚に伴う法的な責任(慰謝料の支払い義務など)まで負わすわけではありません。
仮に、あなたが誰かに証人となってくれよう頼んだ際に断られた場合は、「離婚の責任は負うことはないから、サインだけしてください。」と丁寧に説明すれば大丈夫です。
離婚届の証人欄にサインしてもらう際の注意点
せっかく離婚届の証人を探すことができても、離婚届の証人の欄に誤りがあると離婚届が受理されず協議離婚が成立しない可能性もあります。そこで、以下では、証人にサインしてもらう際の注意点をご紹介します。
証人の「署名」欄は証人が自筆する
最低でも「署名(氏名)」欄は証人に自筆してもらわなければなりません。間違っても、証人から「書いといて」と言われて、あなたが書くことだけはやめましょう。
印鑑はシャチハタ不可
押印に使用する印鑑はシャチハタ(朱肉を使わない印鑑)ではなく、シャチハタ以外の実印、認印を使っていただきましょう。
証人が同じ姓の場合は同じ印鑑は使えない
また、証人が同じ姓の場合、同じ印鑑を使うことはできません。別々の印鑑を使ってもらうようにお願いしておきましょう。
修正の際は修正テープ・ボールペンを使わない
万が一、文字などを間違えたからといって、修正テープ・ボールペンを使ってはいけません。修正箇所を二重線を引いて消し、二重線の中央部付近に証人の印鑑を押して、その上に正しい内容を記入するのが正しい修正方法です。
証人が見つからない場合の対処法
最後に証人になってくれる人が見つからない場合の対処法をご紹介します。
専門業者に依頼する
離婚届の証人となってくれる専門の業者がありますので、依頼してみることを検討されてもよいかと思います。前述のとおり、離婚届の証人はまったく見ず知らずの人でもなることができます。
一般的には「依頼→離婚届を業者に郵送→業者がサインして返送」という流れとなり、費用は4,000円~10,000円前後と設定されていることが多いです。手続きや費用は業者ごとに異なりますので、不明な点は業者に確認してから依頼するようにしてください。
専門家に依頼する
行政書士、弁護士などの専門家も証人になってくれる場合があります。もし、行政書士、弁護士に何かの依頼をしている場合は証人になってくれないか尋ねてみるとよいでしょう。また、行政書士の中には証人になることだけを受け付けている方もおられます。ホームページなどでサービス内容をよく確認しているとよいと思います。
今回の内容は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。