離婚届を勝手に出されたら?離婚を無効とする方法などについて解説

離婚の手続き

お友達追加で
「無料」でご相談できます。

友だち追加

離婚届は夫婦そろって提出する必要はなく、夫婦のいずれかが提出すればよいことになっています。

そのため、夫婦の一方が離婚届を書いて役所に提出する→役所で受理される、こんな事態も想定されるわけです。

今回は、離婚届を勝手に出された場合、出されそうな場合の対処法などについて詳しく解説しますね。

この記事を読んでわかること

  • 離婚届を勝手に出されてしまうパターンがわかる
  • 離婚届を勝手に出されて受理されるかどうかがわかる
  • 離婚届を勝手に出された場合の対処法がわかる
  • 離婚届を勝手に出された場合の戸籍の取り扱いがわかる
  • 離婚届を勝手に出されそうな場合の対処法がわかる

 

離婚届を勝手に出されてしまうパターン

 

相手に離婚届を勝手に出されることはレアケースといえます。

そのため、どのような方法で離婚届を勝手に出されるのか想像できない方も多いでしょう。

以下では、どのような経緯、方法で離婚届が出されるのかご紹介します。

配偶者に離婚届の署名・押印欄に勝手に署名・押印される(パターン1)

離婚届の下の方には夫婦が署名・押印する欄(届出人欄)が設けられています。

この欄には夫婦それぞれが署名・押印(サイン)しなければなりません

しかし、離婚届の書式についてはインターネットからダウンロードできるなど入手が容易ですから、相手に勝手にサインされてしまうという可能性もあるのです。

特に、

相手が離婚を求めているにもかかわらず、

  • あなたが離婚に合意しない場合
  • 離婚に向けた話し合いが親展しない場合

 

などは離婚届を勝手に出される危険が高いため注意が必要です。

署名・押印した離婚届を、配偶者に勝手に出されてしまう(パターン2)

パターン1とは異なり、あなた自身が離婚届の届出人欄にサインしています。

しかし、このパターンではあなたが相手と離婚する意思がないという点が特徴的です。

このケースに陥りがちなのが、

  • 相手と喧嘩して、相手に離婚の本気度を示すために離婚届にサインしていた
  • 相手から離婚届にサインするよう求められ、仕方なくサインしていた

 

などというケースです。

離婚する意思がないのであれば、相手にそのことをはっきりと伝え、お互いの合意のもとで離婚届を処分するなどの対策をとっておくことが必要です。

 

離婚届を勝手に出されても受理される?

冒頭で述べたとおり、離婚届を勝手に出されるとそのまま受理されてしまう可能性があります。

そして、離婚届を受理されると、形式上は離婚が成立します。

離婚届を受理する役所の担当者は、

  • 住所・本籍が戸籍謄本どおりに正しく記載されているか
  • 子どもの親権者となる親の氏名が記載されているか
  • 署名・押印欄に正しく署名・押印されているか

など、離婚届の形式面のみをチェックします。

他方で、署名・押印が誰によってなされたか、夫婦に離婚意思があるかなど内容面に踏み込んだチェックしません。

そのため、離婚届を勝手に出されても離婚届を受理され、離婚が成立してしまう可能性があるのです。

 

離婚届を勝手に出された場合の離婚は無効

離婚届を勝手に出されて受理され、離婚が成立するというのは実態に合わずに納得できませんよね?

そこで、離婚届を勝手に出されても、離婚に合意するという追認の意思表示をしない限りは離婚は無効(=離婚は成立しない)と考えられています。

そもそも、協議離婚が成立するためには

 ①不備のない離婚届の提出(形式的要件)

 ②離婚意思の合致(実質的要件)       

 

という2つの条件がそろう必要があります。

しかし、前述の【パターン1】の場合は①(あるいは、①・②の両方)の要件を、【パターン2】の場合は②の要件を満たさないことは明らかです。

したがって、いずれのパターンで離婚届を勝手に出されても、離婚の成立要件を満たさず離婚は無効だと考えられているのです。

 

離婚を無効とする方法は?

離婚届を勝手に出されても、当然に離婚が無効となるわけではありません

離婚を無効するためには、離婚届を勝手に出された側が調停を申し立てます。

そして、調停でも解決しない場合にはじめて訴訟を提起することができます(調停前置主義)。

調停を申し立てる

この場合の調停とは、正確には「協議離婚無効確認調停」といいます。

離婚届を勝手に出した相手の住所地を管轄する家庭裁判所に対して「協議離婚無効確認調停の申立書」や必要書類を提出して調停の申立てを行います。

申立てが受理されると調停手続きに入ります。

調停では、調停委員が夫婦の間に入って話を取りまとめ、夫婦間で離婚が無効であることにつき合意ができれば調停が成立し、離婚が無効であることの判断(合意に相当する審判)が下されます。

他方で、配偶者が調停に出席しない、出席しても合意しない場合などは、調停は不成立となります。

なお、相手が別の第三者と婚姻していた場合は、相手とその第三者を相手とした「婚姻取消し調停の申立て」を行うことが必要です。

●調停申立て時に必要な書類(基本書類)

  • 申立書 ※書式は以下の裁判所のHPよりダウンロード可です。
  • 申立人の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 相手方の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 離婚届の記載事項証明書
  • 合意書 ※申立先の家庭裁判所について相手と合意した場合

●申立先の家庭裁判所

相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所

●申立て費用

  • 収入印紙1,200円 ※申立書に貼付します
  • 郵便切手      ※申立先の家庭裁判所にあらかじめお問い合せください

 

訴訟を提起する

調停が不成立となった場合は、家庭裁判所に対して「離婚無効確認訴訟」を提起します。

裁判所に対して訴状を提出し、期日においては、証拠(物証、人証)を提出して、離婚届の署名・押印欄が本人の意思によるものではない(パターン1の場合)こと、離婚意思がなかったこと(パターン2の場合)などを立証する必要があります。

そして、証拠によってこれらの事実が認定されれば、協議離婚無効の判決が出されます。

離婚届を勝手に出された場合の戸籍は?

離婚届を勝手に出された場合は、離婚が成立するかどうかはもちろんのこと戸籍がどうなるかも気になる方は多いのではないでしょか?

この点、離婚届を勝手に出され受理された場合は、戸籍は届出通りに書き換えられてしまいます

たとえば、夫に勝手に離婚届を出された場合、夫を筆頭者とする戸籍の場合は、妻は夫の戸籍から除籍され、婚姻前の戸籍(多くの場合、親の戸籍)に戻る(復籍する)ことになるでしょう。

調停や裁判で離婚が無効とされた後は、役所で戸籍の訂正を申請しなければなりません

申請期限は審判確定、判決確定後1か月以内です。

調停の場合、「審判書謄本」と「確定証明書」を、裁判の場合、「判決書謄本」と「確定証明書」をそれぞれ持参して申請します。

審判書謄本と判決書謄本は裁判所から郵送されてきますが、確定証明書は裁判所に申請して取り寄せる必要があります。

申請方法が分からない場合は、調停期日(調停の場合)、あるいは判決期日(裁判の場合)に裁判所書記官に尋ねれば教えてくれます。手数料が1通につき150円かかります。

 

離婚届を受理されたくないなら離婚届不受理申出を

離婚届不受理申出とは、離婚届を勝手に出され受理される前に、基本的には役所の窓口で、離婚届を受理しないよう申し出る制度のことです。

申出を行うには

  • 不受理申出書(市区町村によってはインターネットからダウンロード可)
  • 申出人の印鑑
  • 申出人の身分証明書

 

が必要です。

離婚届不受理申出の方法などについては以下の記事で詳しく解説していますので、よろしければあわせて読んでみてくださいね。

関連記事:離婚の成立を阻止するための離婚届不受理申出とは?申出方法も解説

離婚届に勝手にサインする行為は犯罪

離婚届に勝手にサインする行為は、

私文書偽造罪刑法159条1項=3月以上5年以下の懲役

に、その偽造した離婚届を役所に出す行為は

偽造私文書行使罪刑法161条1項=3月以上5年以下の懲役

にあたる可能性があります。

また、離婚届を勝手に出し、役所の担当者に戸籍に事実とは異なる記載をさせた場合は

電磁的公正証書原本不実記録罪刑法157条1項=5年以下の懲役又は50万円以下の罰金

にあたる可能性があります。

もし、相手に離婚届に勝手にサインされ、役所に出されそうな場合は、相手に上記の罪に問われる可能性があることを伝えれば、相手も離婚届を出すことをとどまるかもしれませんね。

 

まとめ

離婚届を勝手に出されても離婚届は受理され、離婚が成立してしまう可能性があります。

そのための事前の対策としては離婚届不受理申出を行っておくことです。

また、事後の対策としては、まずは協議離婚無効確認調停を申し立てることです。

調停や裁判で離婚が無効となった場合は、戸籍を訂正する手続きもお忘れずに行っておきましょう。