共有財産とは?対象になる財産のまとめや特有財産との違いについて解説

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■ どんな財産が財産分与の対象となるの?
■ 共有財産って何?
■ 特有財産との違いは?

この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容になっています。

離婚を視野に入れている際、検討しなければいけないことの一つが「財産分与」です。財産分与とは夫婦で共有財産を分け合うことですから、何が共有財産なのか知りたい方も多いと思います。

そこで、この記事では共有財産とは何かについて詳しく解説したいと思います。

共有財産とは

共有財産とは、その名のとおり、夫婦で共有している財産のことです。

具体的には

  • 夫婦共有名義の財産(=狭義の共有財産)
  • 婚姻後から離婚(あるいは、別居)までに夫婦が協力して築いたと認められる財産(=実質的共有財産)

のいずれかが共有財産です。

清算的財産分与の対象となるのがこの共有財産です(※)。

※財産分与には、共有財産を夫婦で清算し分配する「清算的財産分与」、離婚後に生活困窮に陥るおそれがある相手を扶養する意味での「扶養的財産分与」、慰謝料的意味合いの強い「慰謝料的財産分与」の3つの性質をもつと考えられています。扶養的財産分与、または慰謝料的財産分与による財産分与を行う場合は特有財産も財産分与の対象となりえます。ただ、実際は清算的財産分与による財産分与が圧倒的に多いです。

 

特有財産とは

一方、共有財産に対する概念が特有財産です。特有財産とは夫婦の一方が単独で有する財産のことです。具体的には

  • 婚姻前から有する財産
  • 婚姻後に自己の名で得た財産

のいずれかが特有財産です。

特有財産は清算的財産分与の対象外です。

 

共有財産(財産分与の対象)かどうかの確定時期(基準時)

財産によっては、その額や評価額が常に変動するため、いつの時点をもって共有財産と確定せるのか、分与対象財産の確定時期(基準時)が問題となります。

この点、実務では別居が離婚に先立つ場合は「別居時」、別居なく協議、調停で離婚する場合は「離婚成立時」、裁判で離婚する場合は「口頭弁論終結時」を基準時としています。

財産分与の対象となる共有財産

では、具体的にどんな財産が共有財産となりうるのか、つまり、財産分与の対象となりうるのかみていきましょう。

預貯金

まず、名義を問わず、実質的共有財産と認められる預貯金は財産分与の対象です。

一方、婚姻前に貯めた預貯金、婚姻後に夫婦の一方が相続、贈与によって取得した預貯金は財産分与の対象外(特有財産)です。

子ども名義の預貯金は?

子ども名義の預貯金であっても、実質的に夫婦の共有財産と認められる預貯金は財産分与の対象です。実質的に夫婦の共有財産と認められるかどうかは、財産形成の趣旨・目的等に照らして判断します。

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別居時の預貯金が2000万円、離婚時の預貯金が1000万円の場合

前述のとおり、離婚に先行して別居していた場合は、分与対象財産の確定時期は別居時です。したがって、財産分与の対象となるのは1000万円ではなく2000万円です。別居後の増減は原則として考慮されません。

婚姻前の預貯金が100万円、別居(離婚)時が200万円の場合

婚姻期間が長く、長年にわたって口座が生活口座として使われ、婚姻前と婚姻後の預貯金が混然一体となっていて、婚姻前の預貯金(特有財産)の特有性が失われている場合は、財産分与の対象は100万円(=200万円-100万円)ではなく200万円です.

なお、婚姻前の預貯金の特有性が失われる婚姻期間の目安は5年です。すなわち、婚姻期間が5年以内であれば対象財産を100万円とし、5年を超えると200万円とするということです。

婚姻前の預貯金が200万円、別居(離婚)時が100万円の場合

上記と同じ考え方により、財産分与の対象は100万円です。もっとも、婚姻前の預貯金が高額な場合は、婚姻後の夫婦の生活に貢献したとして寄与度(貢献度)の問題として分与割合を調整することは可能です。ただ、その場合でも、分与割合を調整するのは婚姻期間が5年未満を目安とします。

へそくり(現金)、退職金

実質的共有財産と認められる場合は、へそくり(現金)でも財産分与の対象です。

退職金は、すでに受け取っている場合は、婚姻期間に対応する額が財産分与の対象です。もっとも、すでに消費しているケースでは、退職金が別の財産として形に残っている場合はその財産が財産分与の対象となりますが、形に残っていない場合は財産分与の対象とはなりません。

一方、まだ受け取っていない場合は、近い将来支給される可能性が高い、といえる場合は財産分与の対象となります。近い将来支給される可能性が高いかどうかは、定年退職までの年数、職種勤務先の形態・規模・経営状態、就業規則・退職金規定の存在、支給実績などを加味して決めます。

 

不動産(土地・建物)

婚姻後に購入した不動産は、夫婦共有名義の場合はもちろん、いずれか一方の名義の場合でも財産分与の対象です。住宅ローンが残っている場合は、アンダーローン(住宅ローン残高<不動産の評価額)の場合は財産分与の対象となりますが、オーバーローンの場合は財産分与の対象とはならないと考えられています(ただ、オーバーローンの場合でも、他にプラスの財産がある場合は、他の財産との関係で不動産が財産分与の対象となることはあります)。

 

婚姻後に共有財産を原資として現金購入した車、婚姻後にローン(ローンは共有財産から返済)を組んで購入した車などは、財産分与の対象となります。

ローンが残っている場合は、アンダーローンの場合は財産分与の対象となりますが、オーバーローンの場合は財産分与の対象とはなりません(ただ、当事者間で話し合い、名義移転やローンの支払いについて合意することは可能です)。一方、婚姻前に夫婦の一方が特有財産を原資として現金購入した車は財産分与の対象とはなりません。

 

保険

保険と一言でいっても

  • 生命保険(医療保険、がん保険、就労不能保険、死亡保険、養老保険など)
  • 学資保険
  • 損害保険(火災保険、自動車保険、地震保険など)

があります。

ただ、名称に限らず、保険がいわゆる「積立(貯蓄)型保険」の場合は、(婚姻後別居時までの保険料払込期間に相当する)解約返戻金が財産分与の対象となります(稀に「掛け捨て型保険」でも解約返戻金が発生する保険があります)。

一方、婚姻前に保険料の支払いが終わっている場合、婚姻後でも夫婦の一方の特有財産を原資として保険料を支払っていた場合は財産分与の対象とはなりません。

私的年金・企業年金

私的年金とは保険会社が販売している掛金積立型の年金で、公的年金(国民年金、厚生年金)とは異なります。私的年金は婚姻期間に対応する解約返戻金が財産分与の対象となります。

企業年金は退職後に受け取るお金という意味では退職金に似ていますから、すでに受け取っている場合は財産分与の対象となるのが基本です。また、まだ受け取っていない場合は受け取る可能性が高いといえる場合に財産分与の対象となります。企業年金の計算方法は以下のとおりです。

【企業年金の計算方法】
●すでに受け取っている場合
・一時金で受け取っている場合
➡預貯金を財産分与の対象とする
・年金(分割払い)で受け取っている場合
➡平均余命までの受給見込額×(婚姻後の同居期間÷加入期間)÷2×受給開始時(死亡時)までの年数に応じた中間利息控除(ライプニッツ係数)
●まだ受け取っていない場合
・受給方法(一時金か年金か)が決まっていない場合
➡一時金支給見込額×(婚姻後の同居期間÷加入期間)÷2×受給開始時までの中間利息控除
・受給方法を年金とすることに決めている場合
➡平均余命までの受給見込額×(婚姻後の同居期間÷加入期間)÷2×受給開始時までの年数に応じた中間利息控除(ライプニッツ係数)

家電・家財道具

婚姻後に共有財産を原資として購入した家財道具は財産分与の対象となります。

もっとも、家財道具と一言でいっても価値の大きいものから小さいか、ないものまで様々です。また、それらすべてを査定に出し、評価額を出すのは手間暇かかります。

そのため、ブランドの貴金属、装飾品やバッグ、高級な絵画、骨董品、美術品など、売ればお金になりそうなもののみを査定に出し、財産分与の対象とするのが一般的です。

借金、ローンなど

今まではプラスの財産をみてきましたが、マイナスの財産でも財産分与の対象となることがあります

もっとも、財産分与の対象となるというのは、すべての財産の中で考慮されるということであって、借金やローンを夫婦で二等分するわけではありません。実際に誰が、いくら返済していくのかは債権者(お金の貸し手)との間で締結した契約内容によります。夫の単独名義の場合は夫が返済していきますが、妻が夫の連帯債務者・連帯保証人の場合は妻にも返済義務が残ります。

一方、婚姻前に夫(妻)が作った借金、婚姻後に個人的な趣味・ギャンブル・遊興費で作った借金は財産分与の対象にはなりません。ただ、婚姻後に、夫婦の一方がこれらの借金を返済し続けた場合は財産分与において考慮されることがあります。

 

共有財産の立証

共有財産が存在すること(ある財産が財産分与の対象であること)は、それを主張する側(財産分与を求める側)が、基準日において共有財産が存在していたことを証明する責任を負います。

たとえば、妻は、別居時、夫名義の口座に500万円あったと考えており(夫は否定)、夫に250万円(分与の割合は2分の1ずつが基本)の支払いを請求したいと考えています。この場合、妻側が、別居時に夫の名義の口座に500万円があったことを証明しなければならないということです。

では、上記のケースで夫が「500万円の存在は認めるものの、500万円のうち300万円は婚姻前から貯めていたお金(つまり、特有財産)で、共有財産は200万円(=500万円-300万円)だ(分与額は100万円だ)」と主張した場合はどうでしょうか?

この場合は、特有財産を主張する夫に300万円の存在を証明する責任があります。もし、夫が証明できない場合、300万円は共有財産となります(民法762条2項)。

(夫婦間における財産の帰属)

第七百六十二条
1 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士 小吹 淳
HP :https://rikon-gyouseishoshi.com/

離婚協議書、離婚公正証書をはじめとする家族(夫婦)間契約書を中心に作成する行政書士です。書面作成、その他面談等ご希望の方は、本サイトの「お問い合わせ」又は上記HPの「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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