離婚公正証書の書き方 | 作るメリット、手順、費用を徹底解説!

kouseishousho離婚の準備
■ 公正証書って何?
■ 離婚協議書とは別に作る書類?
■ どうやって作るの?
■ 作る手順やかかる費用を知りたい

この記事は上記のような疑問、お悩みにお応えする内容となっています。

離婚する際に作成する書面として思いつくのは「離婚届」や「離婚協議書」で、公正証書はあまり馴染みがないと思います。ただ、公正証書は、離婚の際、お金(養育費など)の取り決めを行った際は必ず作っておくべき書類といえます

そこで、この記事の前半では、公正証書とは何か、なぜ公正証書を作る必要があるのか、作るメリットは何かについて解説します。また、後半では、公正証書を作るまでの手順や作る際にかかる費用について詳しく解説したいと思います。

なお、離婚のお金に関する養育費、財産分与、慰謝料については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてお読みください。

 

離婚公正証書とは

離婚公正証書(公正証書)とは公証人(※)が作成する公文書のことをいいます。一方、皆さんもよくご存知の「離婚協議書」は、協議離婚の際に、公証人以外の者が作成する私文書です。

公正証書も離婚協議書も、将来予想されるトラブルを防止するための「契約書」という点では同じです。また、文書に記載する事項(親権、養育費、婚姻費用、財産分与、慰謝料、面会交流、年金分割)や内容もほとんど変わりありません。

そのため、協議離婚する際、公正証書を作成すればよいのか離婚協議書を作成すればよいのか悩まれる方もいます。しかし、以下のとおり、公正証書を作るメリットは大きいです。

※公証人
元裁判官、元検察官、元弁護士などが多いです。公募に応じたものの中から法務大臣が任命します。依頼者の利益のために活動する弁護士と異なり、当事者のいずれにも肩入れせず、公平・中立な立場から職務を遂行しています。

離婚公正証書を作るメリット

では、離婚公正証書を作るメリットをみていきましょう。

財産の差押えまでの手続きを省略できる

金銭の未払いが続いた場合、相手の財産を差し押さえるには、本来であれば①調停、裁判等で支払いの請求→②債務名義(※1)の獲得→③財産の差押えの申立て→④裁判所からの差押命令の獲得、という手順を踏む必要があります。しかし、公正証書(正確には「強制執行認諾文言付き公正証書(※2)」)を作っておけば、その公正証書自体が債務名義となりますから、①→②の過程を省略できますつまり、公正証書を作っておけば手間と時間をかけずに財産を差し押さえることが可能になります。

※1 債務名義
相手にお金の支払いを請求できる権利があることを公的に証明してくれる文書。公正証書のほかに、調停調書、審判書、和解調書、判決書も債務名義となります。
※2 強制執行認諾文言付き公正証書
「もし、養育費等の金銭の未払いが続いた場合、裁判を経ずに自分の財産を差し押さえる手続きを取られても異議を述べません」という相手の承諾文言を入れた公正証書。

相手の任意の支払いを期待できる

前述のとおり、公正証書を作っておけば、相手はお金の未払いが続いた場合に財産を差し押さえられる可能性があります。そのため、相手に「財産を差し押さえられるのはごめんだ」、「合意したとおりお金を払おう」という意識させることができ、結果としてお金の未払いの予防につながります

証明力の高い証拠として使える

公正証書の原本は公証役場で保管され、保管期間は原則20年です。もし、将来、相手と言った言わないのトラブルに発展しそうな場合でも、合意した内容を公正証書によって証明できます(トラブルを予防できます)。また、公正証書は公正・中立な公証人によって作られた公文書ですから、一般の文書に比べて証明度は高いといえます。

※離婚公正証書を作るデメリット
離婚公正証書を作るデメリットは「手続きが面倒」、「費用がかかる」という点です。ただ、養育費一つとってみても、たとえば「月5万円」と取り決めた場合、年間で60万円、10年間で600万円もの金額になり、金銭の未払いはあなたの人生にとって大きなマイナスにもなりかねません。離婚後の長い人生のことを考えると、一時の手間と費用をかけても損はないと考えます。

離婚公正証書を作成するまでの手順

離婚公正証書を作成するメリット(デメリット)をご理解いただいたところで、次に離婚公正証書を作るまでの手順をみていきましょう。

【STEP1】離婚について合意する
※事前準備が重要
【STEP2】離婚条件について話し合う
↓※公正証書を作ることについても合意しておく
【STEP3】書面を作成する

【STEP4】必要書類を準備する

【STEP5】予約を入れ面談する

【STEP6】公正証書(案)の作成、作成費用の提示

【STEP7】公正証書に署名・押印、受領する

【STEP1】離婚について合意する

まずは、離婚することに合意できなければ話を前に進めることはできません。なお、離婚を切り出す前に、入念な事前準備が必要です(DV、モラハラ、虐待を受けているなど緊急性が高い場合を除く)。事前準備や離婚の切り出し方、タイミングについては以下の記事で詳しく解説しています。

 

【STEP2】離婚条件について話し合う

離婚について合意できたら、離婚条件について話し合います(合意できない場合は、調停を申し立てます)。話し合うべき項目は次の7つです。

離婚協議チェックシート(←クリックしてダウンロード)」を作成しましたので、よろしければ話し合いの際にご活用ください。話し合いでは公正証書を作成することについても合意しておきましょう。離婚や離婚条件で合意できない場合は弁護士に相談・依頼する、調停を申し立てるなどの対応を考える必要があります。

【STEP3】書面を作成する

離婚について合意し、離婚条件について話がまとまったら合意内容を書面にまとめます。書面は公証人との面談や公証人が公正証書を作成する際に活用します。

書面の文例は公証役場のホームページでも公開されていますので、参照しながらご自分で作成することもできます。難しい場合は弁護士、行政書士に相談、依頼して作成してもらう手もあります。

参考:【書式】離婚関連の公正証書の文例 | 春日井公証役場

【STEP4】必要書類を準備する

書面を作成したら、公証役場にもっていく必要書類を準備します。公正証書に何を記載するかによってもっていく書類が異なりますので、事前に公証役場に確認しておくと安心です。

【必要書類】
●全般
■ 【STEP3】で作成した書面
■ 本人確認のための身分証明書
=印鑑登録証明書(公正証書作成日より前3か月以内に発行されたもの)、顔写真付きの公的身分証(運転免許証など)
■ 戸籍謄本(全部事項証明書)
●財産分与に関する書類
(不動産を財産分与する場合)

■ 不動産の登記簿謄本(もしくは、固定資産評価証明書、納税通知書)
■ 不動産契約に関する書類(売買契約書など)
■ 住宅ローンに関する書類(消費貸借契約書、償還予定表など)
(車を財産分与する場合)
■ 車検証 
●年金分割に関する書類
■ 年金手帳

■ 年金分割情報通知書

【STEP5】予約を入れ面談する

公正証書の作成を依頼するにあたっては、公証人との事前面談が必要です。予約なしに公証役場行っても面談が不可能というわけではありませんが、予約を入れた方が優先されます。面談は必ずしも夫婦そろって受ける必要はありません。都合がつく方が行えば足ります。

公証役場によってはメール、電話、ファックスによる受付にも対応しているところがありますので事前に確認しましょう。【STEP3】で弁護士や行政書士に書面の作成を依頼した場合は、面談の予約から面談(打ち合わせ)までを任せることも可能です(別途費用が発生します)。

予約を入れ、日程を調整した後は、指定された日に「必要書類」を持参して公証人と面談します。

参考:公証役場一覧 | 日本公証人連合会

【STEP6】公正証書(案)の作成、費用の提示

面談後、公証人は面談で依頼者から聴き取りした内容、依頼者が持参した書面、必要書類等に基づいて公正証書(案)を作成します。面談終了から公正証書(案)の作成までには1週間~2週間程度を要します。

公証人が公正証書(案)を作成したら夫婦にその旨連絡し、公証役場で公正証書(案)を確認する日時を調整します(FAX機をお持ちの場合は、あらかじめ公正証書(案)を送信してくれることもあります)。同時に作成費用も提示されます(作成費用については「離婚公正証書の作成費用」の箇所で解説します)。

【STEP7】公正証書に署名・押印、受領する

日程調整した後、指定された日時に公正役場へ行きます。この際、もっていかなければいけない物は

■ 印鑑(身分証明書として印鑑登録証明書を提出された方は「実印」、その他の方は「実印」か「認印」)
■ 作成費用 

です。作成費用は現金で支払う必要があります。

公証役場に行った後は公正証書(案)を確認し、内容に誤りがなければ公正証書に署名・押印します。夫婦そろって行くのが基本ですが、都合で行けない場合や顔を合わせたくないため行きたくないという場合は、第三者に委任できないかどうか(可能な場合は必要書類(委任状など)を)公証役場に事前に確認しておきましょう。また、【STEP3】で弁護士や行政書士に依頼した場合は、弁護士、行政書士を代理人に依頼することも可能です(ただし、依頼していない側は公証役場に行く必要があります)。

公正証書に署名・押印した後は、公正証書正本(又は謄本)を受け取ります。公正証書正本とは公正証書原本の写しのことで、原本と同じ効力を有するものです(原本は公証役場で保管されます(原則20年))。公正証書正本は、将来、相手の財産を差し押さえる際に必要となりますので、大切に保管しておきましょう(紛失した場合は公証役場にて再発行も可能です)。公正証書正本は相手にも交付されます。

離婚公正証書の作成費用

最後に気になる離婚公正証書の作成費用についてみていきましょう。作成費用は次の内訳から構成されています。

■ 基本手数料
■ 用紙代
■ 交付送達費用

基本手数料は「目的価格(慰謝料、財産分与によって得られる利益と養育費の額(※))」に「年金分割分の1万1,100円」を加えた金額となります。

たとえば、「財産分与で600万円、慰謝料で300万円、養育費については子ども2人に1人あたり月額4万円を支払う」旨の公正証書を作成した場合は、1860万円(=600万円+300万円+4万円×2人×12か月×10年)が目的価格となります。この目的価格を下記の「公証事務 手数料」の表にあてはめると「2万3000円」となります。これに年金分割分の「1万1,100円」を加えた「3万4,100円」が基本手数料となります。

加えて基本手数料に用紙代、郵便送達費用を加算した額が作成費用となります。用紙代は「250円×公正証書の枚数×2(自分と相手の正本(謄本)分)」です。郵便送達費用は「1,400円+郵送費(実費)」となります。

参考:公証事務 手数料 | 日本公証人連合会

※養育費については長期間にわたり請求することとなる場合もあるため、10年分を限度として計算します。
今回の内容は以上となります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事の執筆者
小吹 淳

行政書士、夫婦問題(離婚)カウンセラー | 大学卒業後、官庁勤務(約13年)→法律事務所勤務(約4年)を経て現在に至ります | 現在「離婚協議書、離婚公正証書の作成&サポート」、「夫婦問題・離婚カウンセリング
」業務を中心とする行政書士事務所開業に向けて準備中です | 本サイトでは離婚で役立つ情報をわかりやすく解説しています | 二児の父親 | 趣味はサッカー観戦と旅行

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