離婚したら保険証(健康保険)はどうなる?ケース別に詳しく解説します

離婚後の手続き・生活設計

■ 離婚したら保険証はどうなるの?
■ 健康保険はどうなるの?

この記事は上記のような疑問、悩みにお応えする内容になっています。

病院を受診する際に窓口に提出するのが公的医療保険の保険証です。このおかげで私たちは高額な医療費を負担することなく医師の医療行為を受けることができています。

ただ、離婚後は、人によってはこの保険証を切り替える手続きが必要となります。手続きしないと病院を受診できないなど、生活に支障が出てきます。

そこで、この記事の前半では、簡単に公的保険や医療保険の内容について解説します。その後、ケース別に保険証の切り替え方法について解説していきたいと思います。

公的保険(社会保険)の種類

まずは、公的保険(社会保険)について簡単に解説します。

公的保険には医療保険、介護保険、年金保険、労災保険、雇用保険の5種類があります。このうち、病気や怪我などで病院を受診し医師の医療行為を受けることができる保険が医療保険です。

医療保険には健康保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度の3種類があります。健康保険は会社員・公務員とその家族、国民健康保険は自営業者等とその家族、後期高齢者医療制度は75歳以上の人が対象です。

まずは医療保険の種類を確認しよう

冒頭で述べましたとおり、離婚後は保険証の切り替え手続きが必要ですが、手続きの内容は医療保険の種類によって異なります。そこで、ご自分が何の医療保険に加入しているのか不安な方は、まずは、現在加入している医療保険の種類から確認しておきましょう。

確認方法は簡単です。現在お持ちの保険証の左上に「健康保険 被保険者証」と書かれている場合は健康保険に、「〇〇(都道府県)国民健康保険 被保険者証」と書かれている場合は国民健康保険に加入していることを示しています(後期高齢者医療制度は解説を省かしていただきます)。

【ケース別】医療保険の保険証の切り替え方

それでは、ここからは

① 配偶者の健康保険の被扶養者(※)の場合
② 配偶者が国民健康保険に加入している場合
③ 自分で健康保険に加入している場合
④ 自分で国民健康保険に加入している場合

の4つのケース別に、保険証の切り替え方法についてみていきましょう。なお、現状、「夫が健康保険の被保険者、妻がその被扶養者」というケースが多いことに鑑みて、以下では、このケースをベースに妻が何をすべきか、という観点から解説してまいります。

※年収130万円未満でかつ被保険者の年収の2分の1未満である人。夫が会社員の場合の、パート・アルバイトの妻、専業主婦などの方が被扶養者であることが多いです。なお、扶養に入っている子供も被扶養者にあたります。健康保険の被扶養者は保険料の支払いが免除されています。これに対して、国民健康保険の場合、「扶養」という概念がありません。すなわち、年収の多寡にかかわらず、国民一人一人が保険料を負担する義務を負っています。

①妻が配偶者(夫)の健康保険の被扶養者の場合

この場合はさらに、妻が、離婚後、会社員として働く場合、離婚後、親の扶養に入る場合、上記以外の場合、で手続きが異なります。

ア離婚後、会社員として働く場合

まずは、夫が会社に「健康保険資格喪失届」を提出し、妻を健康保険の被扶養者から外す手続きをとる必要があります。一方、妻は直接会社に、あるいは夫を通じて会社に保険証を返納する必要があります。

夫が手続きを取ると、会社から郵送で「健康保険資格喪失証明書(以下「資格喪失証明書」といいます)」が送達されてきますので、必ず受け取ってください(※)。その後、会社に勤務した後、担当者に資格喪失証明書等を提出し、健康保険への加入手続きをとってもらいます

※夫が手続きをとってくれない場合は、お住いの近くの年金事務所で、ご自分で手続きをとることも可能です。詳細はお近くの年金事務所にお尋ねください。

イ離婚後、親の扶養に入る場合

親がまだ会社員の場合は、親の健康保険の扶養に入るのも選択肢の一つです(ただし、年収の要件をクリアする必要があります)。この場合の手続きも上記と同様です。資格喪失証明書を受け取った後は親に渡し、親に健康保険の扶養に入る手続きをとってもらいましょう。

ウ上記以外の場合

離婚後、会社員として働く予定はない、親の健康保険の扶養に入る予定もない、会社員ではなく自営業者として働く予定だ、などという場合は、国民健康保険に加入する必要があります

資格喪失証明書、本人確認証(運転免許証など)、マイナンバーカードをもってお住いの自治体の役所で加入の手続きを行いましょう(郵送での手続きを受け付けている自治体もあります)。手続きの期限は資格喪失日の翌日から14日以内ですが、期限が過ぎても受け付けてくれます。

※健康保険の資格喪失から国民健康保険加入までの保険はどうなる?
たとえば、令和3年12月31日に健康保険の資格を喪失し、令和4年1月14日に国民健康保険の加入の手続きをしたとします。この場合、令和4年1月1日から同月13日までは無保険ではなく、1日に遡って、同日から国民健康保険に加入していたものとして扱われます。国民健康保険料は資格喪失日の翌日の属する月分から納付する必要があります。1日から13日までは保険証がないため、病院を受診した際は、医療費をいったん全額(10割)負担し、後日、役所で払い戻しの手続きをとる必要があります。

②配偶者(夫)が国民健康保険に加入している場合

この場合も、妻が、離婚後、会社員として働く場合、離婚後、親の扶養に入る場合、上記以外の場合、の3つにわけてみていきましょう。

ア離婚後、会社員として働く場合

まずは、現在加入している国民健康保険から脱退する手続きをとる(資格喪失の手続きをとる)必要があります。国民健康保険から脱退するには、

  • 世帯主(※)に手続きをとってもらう方法
  • 離婚届を提出した後、自分で手続きをとる方法

があります。

後者の手続きを選択する場合、役所によっては世帯主の委任状の提出を求められることがあります。委任状が必要かどうか、あらかじめ役所に確認しておく必要があります。手続きをとったら、勤務先の会社で健康保険への加入手続きをとってもらいます

なお、脱退の手続きをとらない限り、国民健康保険料を納付し続けなければなりません。未納が続くと、財産を差し押さえられる可能性がありますので注意が必要です。

※住民票に記載されています。通常は夫が世帯主であることが多いです。

イ離婚後、親の扶養に入る場合

この場合の手続きも、基本的には離婚後、会社員として働く場合と同様です。脱退後は親に健康保険の扶養に入る手続きをとってもらいましょう。

ウ上記以外の場合

引き続き国民健康保険に加入し続けるという場合です。異なる市区町村に引っ越す場合は現住所の役所で資格喪失(脱退)の手続きを行い、引っ越し先の役所で加入の手続きをとります。同一市区町村内に引っ越す場合は、現在の役所で住所のほか氏名を変える場合は氏名の変更手続きが必要です。引っ越さない場合も氏名を変える場合は変更手続きが必要です。

③妻が健康保険に加入している場合

夫も妻も健康保険に加入している場合は、子供の資格喪失手続きが必要です。夫が妻の健康保険の被扶養者の場合は、妻が健康保険の被扶養者の場合と反対の手続きをとります。

④妻が世帯主として国民健康保険に加入している場合

異なる市区町村に引っ越す場合は、現住所の役所で資格喪失(脱退)の手続きが必要です。その後、引っ越し先の役所で加入の手続きをとります。同一市区町村内に引っ越す場合は、夫の資格喪失の手続きのほか、住所や氏名を変える場合は氏名の変更手続きが必要です。引っ越さない場合も夫の資格喪失の手続きのほか氏名を変える場合は氏名の変更手続きが必要です。

離婚したら子供の保険証はどうなる?

離婚後の子供の保険証がどうなるかについて、実務上最も多い、前記①ウのケースを使ってみていきましょう。

まず、子供が夫の健康保険の扶養から外れる場合は、妻と同様、保険証を返納する必要があります。また、夫に資格喪失の手続きをとってもらう必要があります

夫が手続きをとると、会社から郵送で資格喪失証明書が自宅宛てに郵送されてきますから、資格喪失証明書等の必要なものをもって役所で国民健康保険への加入手続きをとります。手続後、国民健康保険の保険証が発行されます。

離婚後に国民健康保険料が支払えない場合

前記①ウ、②ウ及び④の場合は、離婚後も国民健康保険料を納付しなければいけません。ただ、国民健康保険料は思いのほか家計に大きな負担となる可能性があります。特に、①ウの方は離婚前まではご自分で保険料を負担していなかったわけですから、離婚後は負担を大きく感じることになるかもしれません。

国民健康保険料は前年の所得や子供の数、お住いの自治体などによって異なってきます。実際にいくらかかるのかはお住いの自治体に問い合わせるのが確実です。

また、納付が難しい場合は放置せず、はやめに役所に相談しましょう。放置しておくと病院で保険証を使えないなど必要な給付を受けることができなくなるほか、預貯金などの財産を差し押さえられる措置を取られる可能性もあります。

 

今回の内容は以上となります。

最後までお読みいただきありがとうございました。