離婚の話し合いの進め方 | 事前準備から書類の作成・調停まで解説

離婚の手続き

■ 離婚の話し合いってどうやって進めればいいの?
■ 何を準備すればいいの?
■ 何を話し合えばいいの?
■ 話し合いの後は何をすればいいの?
■ 話し合いができない、話がまとまらない場合はどうすればいいの?

この記事は上記のような疑問、悩みにお応えする内容となっています。

離婚に向けた話し合いでは、結婚は比較にならないほど、話し合わなければいけないことが多いです。ただ、それはわかっているものの、何からどう手を付けていいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか?また、相手が話の通じる人ならまだしも、通じない場合だと相当苦戦することも予想されます。

そこで、少しでも話し合いを有利に進めてもらうべく、この記事の前半では離婚の話し合いを切り出す前の事前準備や切り出し方、タイミングについて解説します。また、後半では、話し合いで話し合うことや話し合った後にやること、話し合いができない・話がまとまらない場合の対処法についても詳しく解説したいと思います。

離婚の話し合いを切り出す前にやるべきこと

まず、気を付けなければいけないことは、離婚しようと思っても、いきなり相手に離婚の話し合い(離婚)を切り出してはいけない、ということです。

準備不足のまま離婚の話し合いを切り出すとあなただけではなく相手も混乱し、結局は離婚できないという事態にも陥りかねません。また、離婚後の生活に困ったり、離婚前に相手ときちんとした合意形成ができていなかったばかりにトラブルに発展し、苦労するのはあなたかもしれません。

自分で自分の首を絞めることがないよう、離婚の話し合いを切り出す前にじっくりと時間をかけ、入念な事前準備を行うことが必要です(ただし、DV、モラハラ、虐待事案などの緊急性の高い場合は、まずは身の安全を確保することを最優先させてください)。

事前準備

まずは、離婚のメリット、デメリットを把握し、本当に離婚したいのかどうか問いかけてみること(セルフチェックすること)からはじめてみましょう。その上で、離婚を確信できたら次の準備をはじめます。

①離婚理由に関する準備
②お金に関する準備
③子供に関する準備
④離婚後の生活に関する準備

詳細は以下の記事で詳しく解説しています。

 

話し合いを行う場所を決める

話し合いの場所は自宅が基本です。ただし、子供がいる前での話し合いは避けましょう。子供がいて話し合いができない場合は、子供がいない時間を見計らって話し合いをするか、近くの親などに預けておきましょう。

一方、離婚を切り出したことで話し合いがヒートアップしそうな場合や暴力を振るわれたり暴言を吐かれそうな場合は、自宅以外の第三者の目の届くような場所(プライベートが確保できるカフェなど)を探しておきましょう。

間に入ってくれる人を探す

離婚の話し合いは二人で行うのが基本ですが、話し合いに不安を抱えている場合は第三者に間に入ってもらうことを検討しましょう。

まずは、一番身近な親族(自分や相手の親)、知人・友人(できれば離婚経験者)に間に入ってくれないか相談してみましょう。ただし、話し合いの主役はあくまで夫婦です。話し合いに割って入ったり、どちらか一方に肩入れするような人は適任とはいえません。

頼める親族、知人・友人がいない場合やDV、モラハラ、虐待を受けている場合、そもそも相手が話し合いのテーブルについそうにない場合は弁護士に依頼した方が無難です。費用を払えそうにない場合は法テラスの民事扶助制度を活用する手もあります。

 

離婚の話し合いを切り出すタイミング、切り出し方

離婚の話し合いを切り出すのは事前準備を終え、離婚を切り出す決心がついた後です。

切り出し方は直接口頭で伝えるのが基本ですが、いきなり話し合いに入ることに抵抗がある場合は手紙やメールを送り、ワンクッション置いてから本格的な話し合いに入るのも一つの方法です。その際は、なぜ直接口頭ではなく手紙やメールで切り出したのかを書いておくと親切です(ただし、手紙やメールは証拠として残ってしまいますから文面には細心の注意が必要です)。一方、DV、モラハラ、虐待を受けている場合は弁護士に対応を任せた方が安心です。

離婚の話し合いを切り出す際は、感情的にならずに冷静に「離婚したい」という想いをストレートに伝えましょう。想いを伝える際は、事前準備であらかじめ考えていた

① 離婚理由(どういう理由で離婚を決意したのか)
② ①の結果、どのような不利益・被害・迷惑を被ったのか、不都合が生じたのか

を伝えるのがコツです。

離婚の話し合いやるべきこと【離婚協議シート付き】

離婚の話し合いでやるべきことは大きくわけて次の2点です。「離婚協議事項シート(←クリック)」を作りましたので、よろしければダウンロードして話し合いの際にご活用ください。

①離婚に合意するかどうか確認する
②離婚条件について話し合う

①離婚に合意するかどうか確認する

相手に離婚の意思を伝えた後、まずは相手も離婚に合意するかどうか確認しましょう。ここで相手が離婚に合意しない場合は、次の離婚条件の話し合いに進むことはできません。相手が離婚に合意しない場合は後述する離婚調停を申し立てることも検討します。

②離婚条件について話し合う

相手が離婚に合意した場合は、離婚条件について話し合いを進めていきます。事前準備をしている方は何を話し合うべきか把握していると思いますが、今一度簡単におさらいしてみましょう。

なお、離婚条件の話し合いでは、お互いの利害が激しく対立する場面でもあります。そのため、一回の話し合いですべてを決めようとせず、できれば、数回に分けて(2~3回程度が理想)話し合いの機会を設けるようにしましょう。

親権

親権は、離婚するにあたって必ず決めなければいけない項目です。離婚届には親権について記入する欄がありますが、そこが空欄の場合は離婚届を受理されず、離婚は成立しません。

 

養育費

離婚後も法的に親子関係が継続する以上、子供と離れて暮らす親も養育費を負担しなければいけません。まずは、事前に考えたあなたの希望額を相手に伝えます。

 

財産分与

財産分与は婚姻後に夫婦で築いた財産を夫婦で分け合うもの。法律で「こういう方法で分けなければならない」と定められているわけではありません。夫婦で納得のいく分け方を考えてみましょう。

 

婚姻費用

今現在別居していて、離婚までに婚姻費用の未払い分がある場合は、離婚時に未払い分の婚姻費用を支払ってもらうこともできます。

 

慰謝料

不貞などの不法行為を受けた場合は慰謝料を請求できます。ただし、離婚するからといって必ず受け取れるわけではありません。請求できる場合の金額は50万円~300万円が相場です。

 

面会交流

あなたがDVを受けていてその影響が子供にも及んでいる場合や子供が虐待を受けている場合などの特段の事情がある場合を除き、相手が希望する場合は面会交流を実施する方向で話を進めてください。

 

年金分割

年金分割とは婚姻期間中の厚生年金の保険料納付実績を夫婦で分割することです。年金分割は合意分割と3号分割があり、合意分割する場合は夫婦で合意しておく必要があります。

 

公正証書の作成

養育費など金銭に関する合意をした場合は必ず離婚公正証書を作成しましょう。公正証書の中でも強制執行認諾付き公正証書を作成しておけば、万が一、未払いとなった場合は財産を差し押さえる手続きが通常よりも簡単になるというメリットがあります。ただ、公正証書を作成すること、公正証書に認諾文言を入れることについて相手の合意を得ておく必要があります。

 

話し合った後は合意内容を書面にまとめる

離婚と離婚条件について合意できたら、あとで言った言わないのトラブルにならないよう、必ず書面にまとめましょう。

書面は自分たちで作ることも可能です。決められた書式はありません。タイトルは必ずしも離婚協議書ではなく合意書などでもかまいません。常識の範囲内であれば、何をどう記載するかも夫婦の自由です。ただし、書面の最後に夫婦それぞれの自筆のサインと押印だけは忘れないようにしましょう。

なお、前述のとおり、養育費などの金銭に関する取り決めをした場合は離婚公正証書を作成しておきましょう。

書面作成に困った場合に頼れる専門家

とはいえ、法的に有効な書面でなければ、せっかくの書面も「絵に描いた餅」になってしまう可能性があります。つまり、離婚後のトラブルを予防するという書面のメリットを活かすことができず、後日、夫婦で言った言わないのトラブルとなる可能性があります。そのため、書面を作成する場合は、可能な限り、以下の専門家に依頼した方が安心といえます。

弁護士

弁護士は法律のプロですから、有効な書面を作成するという点では、弁護士に任せておけばまず間違いないといっても過言ではありません。また、必要によっては書面の作成のみならず、相手との交渉も引き受けてくれます。

一方、費用が高額となる点がネックです。弁護士によっては書面作成のみの依頼を引き受けてくれない場合もあります。前述のとおり、費用がネックとなっている方は、法テラスの民事扶助制度の活用を検討しましょう。

行政書士

行政書士は書面作成のプロです。行政書士の中には離婚協議書、離婚公正証書の作成を専門としている行政書士もいます。また、多くの行政書士は公正証書作成の手続きまで引き受けてくれます。弁護士に比べて費用が安い点もメリットです。

一方、法律上、行政書士は弁護士のように代理人となって相手と交渉することができないことになっています。つまり、話し合い自体は自分たちで行う必要があります。もし、話がまとまらない場合、行政書士に交渉を依頼することはできません。

離婚の話し合いに行き詰った場合の対処法

最後に話し合いに行き詰った場合の対処法をご紹介します。

弁護士に相談、依頼する

当事者同士の話し合いで埒が明かない場合は、第三者であり、かつ、交渉のプロである弁護士に相談、依頼するのも一つの方法です。弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となって相手と交渉してくれます。精神的な負担はかなり軽減されるでしょう。時間の許す限り、複数の弁護士に相談し、自分と相性の合う弁護士に依頼しましょう。

カウンセラーに相談する

精神的に行き詰った場合は離婚(夫婦問題)カウンセラーに相談する手もあります。あなたの話を親身に聞いてくれますし、今後何をすべきか指針を示してくれます。ただし、弁護士のようにあなたの代理人として相手と交渉してくれたり、法的な書面を作ってくれるわけではありません。

家族、友人に相談する

身近な方ならば家族、友人(離婚経験者がベスト)に相談するのもよいです。普段から親身にしている相手だと、自分の胸の内をさらして気軽に話せる点が最大のメリットですね。ただし、離婚の専門家ではないため、アドバイスの中には間違った情報や偏った情報が混在している可能性もあります。

別居する

別居も一つの選択肢です。別居することでお互いが冷静になり、再度話し合いができるようになる可能性もあります。一方、お互いの大切さに気付き、離婚ではなく再構築の方向へ進む可能性もあります。いずれにしても、別居するにしても様々なことを検討しなければいけませんし、時間もかかります。思い立ったらはやめに行動に移ることが大切です。

 

離婚調停を申し立てる

離婚調停は以下のいずれの場合でも申し立てることが可能です。

■ そもそも離婚に合意できていない
■ 離婚には合意できているものの、離婚条件でもめている

調停も話し合い(夫婦の合意形成)によって解決を目指す手続きですが、調停委員という第三者が間に入ることで話し合いがスムーズに進む可能性があります。特別な法的知識がなくても、申立て~手続きの終わりまで、自分で進めていくことも不可能ではありません。裁判に比べて一般の方が利用しやすい手続きといえます。

参考:夫婦関係調整調停(離婚) | 裁判所

 

離婚するまでにはいくつものハードルを越えなければならず、肉体的にも精神的にも大変です。すべてを一人で解決しようとすると路頭に迷い、離婚を諦めざるをえなくなるかもしれません。自分一人の力で解決することが難しい場合は、はやめに周囲の助けを借りながら乗り越えていくとよいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事の執筆者
小吹 淳

こぶき行政書士事務所 行政書士 小吹 淳
HP :https://rikon-gyouseishoshi.com/

離婚協議書、離婚公正証書をはじめとする家族(夫婦)間契約書を中心に作成する行政書士です。書面作成、その他面談等ご希望の方は、本サイトの「お問い合わせ」又は上記HPの「お問い合わせ」よりお気軽にご連絡ください。

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